2012/05/19公開 公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/darkshadows/
ティム・バートン・ジョニー・デップ・コンビの新作は往年のテレビ・ドラマが原作です。『アダムス・ファミリー』のような感じかなと思いながら見始めました。英仏ゴス女優、ヘレナ・ボナム=カーターとエヴァ・グリーがティム・バートン監督映画で対決です。これに加えて一昔前のクリスティーナ・リッチがいればと思ってしまいます。予告やスチールで少しリッチ風に見えた新人ベラ・ヒースコートは実際に見るとエラの感じが違いました。イギリスからアメリカにやってきたコリンズ家は水産業で成功を収めます。若きバーナバス・コリンズ(ジョニー・デップ)を猛烈に愛する使用人アンジェリーク・ボーチャード(エヴァ・グリーン)、じつは彼女は魔女でふられた嫌がらせにバーナバス夫人ジョセッテ(ベラ・ヒースコート)を操って崖から墜落させ、バーナバスを吸血鬼に変えて棺桶に閉じ込めてしまいます。その後アンジェリークは姿を微妙に変えながら200年近くコリンズポートの名士として君臨し、コリンズ家の勢いをそいでゆきます。大きな屋敷ぐらいしかかつての栄光を感じさせないのが現在のコリンズ家です。
このコリンズ家にやってきた家庭教師がマギー改めビクトリア(ベラ・ヒースコートの二役)です。今のコリンズ家の当主はエリザベス・コリンズ・スタッダード(ミシェル・ファイファー)、その娘のクキャロリン・スタッダード(ロエ・グレース・モレッツ)、エリザベスの弟ロジャー・コリンズ(ジョニー・リー・ミラー)とその息子のデイビッド・コリンズ(ガリー・マクグラス)という構成です。そこに母親の霊が見えると主張するデイビッドのための精神科医ジュリア・ホフマン(ヘレナ・ボナム=カーター)と使用人ウィリー・ルーミス(ジャッキー・アール・ヘイリー)がいます。
そんなコリンズ家に200年ぶりに戻ってきたバーナバスが起こす騒動がこの映画の基本です。彼は古めかしい言い回しなどの200年分のジェネレーション・ギャップ・ギャグ笑わせてくれます。でも最後まで見てもどうして舞台が2012年ではなく1972年なのかはよく分かりませんでした。そのせいかギャグが滑っていた場面もありました。ドラマが放映されていた年代に設定したというのが一番の理由なのでしょうが、強い拘りがあるようには思えませんでした。サイケデリックの時代は終わってもヒッピーはいます。しかしそれと対応するような古い世代を出すわけでもなく、当事のカルチャー描写にしても温めです。それを一番強く感じるのは音楽でした。有名曲が数多くかかるのですが、その選曲に深い意味もなく、これでいいのか疑問です。ただしカーペンターズとアリス・クーパーは例外でした。
ビジュアル面ではバートンらしさを感じられる部分があるとはいえ、残念な部分が多い作品なのですが、これを女性(あるいは女優)映画としてみると『アリス・イン・ワンダーランド』より優れていると思いました。一番いいのはエヴァ・グリーンでしょう。元々魔女役は得意とするところで、『カジノ・ロワイヤル』以降で一番良いです。アンジェリークは奥さんを殺して自分がその地位につこうとしないという意味では古い世代なのかもしれません。それと比べると幽霊が見えることで阻害されてきたビクトリアが自分の行く道を見出すという意味では現代的といえます。宣伝ではバーナバス・コリンズが家族思いということになっていますが、本当の家族を守れなかっただけに、子孫たちのことは心配と言ったほうが近いと思いました。このところのティム・バートン映画の着地点が家族ということが多いのですが、今回はそれよりは自分の感情に正直な(それだけにわがままな)着地点で、このほうがバートンらしいと思います。そしてなによりはぐれ者たちが自分を貫いて未来を勝ち取ることは重要です。
俳優ではミシェル・ファイファーも良かったです。今回魔女になることはありませんが、今のコリンズ家の長としての存在感はあります。ヘレナ・ボナム=カーターは彼女にしては小さな役ですが、途中で変なことをやってくれます。クロエ・グレース・モレッツの機嫌の悪いティーン役ですが、これなら『キッズ・オールライト』のミア・ワシコウスカのほうが良かったと思います。彼女をうまく使いこなすならもっといい役が必要でしょう。ほぼ新人と言って良さそうなベラ・ヒースコートはまたバートン映画に出そうな気がします。そう感じさせたのがもう一人がジャッキー・アール・ヘイリーでした。『オール・ザ・キングスメン』で復帰して以来変わり者役しか見てこなかったのですが出番は少ないとはいえこの映画のようにコメディ演技をやらせても面白いのではないでしょうか。
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