ヒラリー・スワンク、エミー・ロッサム出演映画『サヨナラの代わりに』いいところと悪いところ
2015 / 09 / 12 ( Sat )
サヨナラの代わりに / You're Not You
2015/11/07公開 公式HP:http://sayonarano-kawarini.com/
YOU'RE NOT YOU

■プロデューサーの父親がALS
監督のジョージ・C・ウルフはテレビ作品化されている『エンジェルス・イン・アメリカ』『ノーマル・ハート』といった舞台作品で知られている。映画演出作品としては『最後の初恋』がある。その作品の製作会社がDiNovi Pictures、ティム・バートン初期作品のプロデューサーとして知られているデニーズ・ディ・ノヴィの会社だ。そのパートナーというべき存在がアリソン・グリーンスパン、父親がALS患者だった彼女はミシェル・ウィルドゲンの小説『You're Not You』に興味を持ち映画化した。

■辛口の舞台作品と比べると甘口な映画
ジョージ・C・ウルフの舞台作品と比べると映画の作風はかなり違う。舞台と映画で同じようにやる必要はないので作風が違っていてもかまわない。彼が映画は舞台より甘口であるべきと思ったのかは定かではないが、甘さが弱点になっていることは否定できない。ケイトがベックを雇う理由はどうしても弱い。医療スタッフではなく友人を求めての採用というのはいいとしても、たんにベックが一番初めに来たから採用と見えてしまう。この映画と『最強のふたり』(この映画はまずは金持ちが正しくお金を使ったという話だと解釈している)は世間で言われるほどは似ていないと思うが、この部分では完全にこちらのほうが説得力に欠ける。それに続くベックの失敗の連続はやり過ぎで興ざめする。ドジな子がかわいいと思っているならベックに失礼だ。なにも甘口なのが悪いと言いたいのではない、それによって雰囲気が和らぐ等の効果を生んでいないことのほうが問題で、むしろ不快に思えてしまうほどだ。予告編にある叫びのシーンは悪くないが、見ていてやや恥ずかしさを感じる。BGMがあったほうが良かったかもしれない。

■ややブレのある夫のキャラクター、主導権はどちらに
公式サイトのストーリー紹介ではケイトの夫エヴァン(ジョシュ・デュアメル)の浮気を知ってから彼と別の生活を求めるようになったとあるがこれはやや違うように思う。パートナーに異性ではなく同性を選ぶのは『アナと雪の女王』以降の映画としてとらえれば(浮気の存在は小さくないものの)ケイトがエヴァンを解放したと捉えるべきだろう。それは「夫婦のシャワー・シーンからベックとのシャワーのシーンへ」という文字通りのスキンシップの変化によく表れている。シャワー・シーンは何度か出てきて、話を転換させる切っ掛けになっているとも言える。序盤のエヴァンのキャラクターはとてもよくできた夫のように見えて、じつは支配欲が強い人間であるが、その彼が終盤に再登場することによって都合よくキャラクターが変わってしまっているのは残念だ。

■クリント・イーストウッド組キャスティングの母子4人
事前の情報から母親たちのキャスティングも期待していた。ヒラリー・スワンクの母親にはフランシス・フィッシャー、『許されざる者』の人というよりクリント・イーストウッドの元パートナーにてフランチェスカ・フィッシャー=イーストウッドの母親(ちなみにテレビドラマ『オードリー・ヘプバーン物語』ではオードリー役のジェニファー・ラヴ・ヒューイット、エミー・ロッサム、サラ・ハイランド母親役)。ヒラリー・スワンクといえば『ミリオンダラー・ベイビー』でクリント・イーストウッドと疑似親子関係を描いていただけにここでの関係も注目していた。ベックとの関係を重視いていたケイトなので母子関係が重要なものにならず、ケイトの周りに人がいなくなってようやく母親が出てくるというずいぶんあっさりとした描写となった。対するエミー・ロッサムの母親役には『ミスティック・リバー』つながりでもあるマーシャ・ゲイ・ハーデン。エミーの尊敬する女優でもあるので期待していたのだが、後半に少し出てきてヒロインに小言を言うという最近の彼女の映画によくあるパターンとなっていてこちらも残念だった。そんな母親たちより出番が多いのが年配のALS患者マリリン(ロレッタ・ディヴァイン)、夫とのいい関係を築いていて本作では古い世代の象徴にもなっている。それが母親たちとの微妙な距離感を含むヒロインたちとの対比となっていると。

■俳優
ヒラリー・スワンク演じるケイトの発病から一挙に一年半飛ぶので病気の進行具合はよく分からないが。そこには比重が置かれていないということだろう。病状進行具合はおもに話し方で表現されそこはうまい。エミー・ロッサムのベックのキャラクターは『シェイムレス』のフィオナを引きずっている。エミー本人は料理好きなので余計におかしく感じてしまう。その一方で歌手志望なのにステージではうまく歌えない姿は、ギターを弾くのは苦手というエミー本人とダブって見える。ほかではケイトの友人ケリー役のアリ・ラーターと、ジェイソン・リッターが好印象。一番変なのは髭をはやしたジュリアン・マクマホン。
00 : 00 : 00 | 『サヨナラの代わりに』 You’re Not You | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
<<ラジオでの『ミスター・ロボット』紹介 | ホーム | エミー・ロッサムと恋人のサム・エスメイルが婚約>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://emfanjp.blog18.fc2.com/tb.php/1100-12fdd36f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |