コリン・バス(コリン・バース)の新アルバム『アット・ワイルド・エンド』はキャメル、3ムスタファズ3より新人脈に注目
2015 / 11 / 15 ( Sun )
アット・ワイルド・エンド2015コリン・バス
『アット・ワイルド・エンド』コリン・バス

キャメル、3ムスタファズ3のコリン・バス(コリン・バース)のソロ・アルバム、10年以上出していなかったので久しぶりだ。その間に彼がしていたことで記憶に残っているのはドイツのラジオ番組を担当(これはネットで聞くことができた)、喋りはドイツ語なので何言っているが分からなかったが(日本の曲もかけていた)アフリカのギター音楽が一番よくかけていたと思う。そしてサバ・ハバス・ムスタファズ名義のソロ・アルバム『ジャラン・コポ』と『ソ・ラ・リ』に参加していたインドネシアのサンバスンダの紹介に力を尽くしたことは当ブログでも少し触れた。

話はそれるが『ソ・ラ・リ』がBBC Radio 3 World Music Awardのアジア部門にノミネートされたことがは特筆すべきだ。イギリスにとってアジアと言えばまずはインドだ。そしてインドが音楽大国であることは否定しようがないのだが、どうもイギリス人は伝統的、真面目な音楽を高く評価する傾向にある。それをインド以外の地域でも適用するので、アジア部門はどうしてポピュラー音楽は二の次になるという印象がある。サバ・ハバスのアルバムは1枚目の『デンパサール・ムーン』のタイトル曲からして本格的ではないがダンドゥットのスタイルに取り入れている。それだけでも偉いが、『ジャラン・コポ』と『ソ・ラ・リ』は西ジャワのスンダ音楽を取り入れるという他の人がやりそうもないことをやっている。

本作の特徴としてまずあげられるのはキャメル、3ムスタファズ3という彼のキャリアを代表するバンドのメンバーを多く参加させていることだ。キャメルからはアンディ・ラティマーとデイヴ・スチュワート(ドラム)が参加し、1曲目の「Return to Earth」は今は亡きキーボード奏者ガイ・ルブランに捧げられている。、3ムスタファズ3からはヒジャズ・ムスタファ(ベン・マンデルソン)とケモ・ケムケム・ムスタファ(キム・バートン)をメインに数名が参加している。しかし注目したいのは新しい人脈だ。9Bachのリサ(ボーカル)、シアン・ジェームス(ハープ)、ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキのジョン・ローレンス(ボーカル)といったウェールズのミュージシャンが参加している。僕は不勉強で知らなかったが現在コリンはウェールズを拠点にしているようでアルバムが録音されたWild End Studioもウェールズにある。9Bachの『ティンシャン』はコリンのプロデュースでここの録音だ。「If I Could Stay」は「Along the Menin Road」や「Banks of the Nile」にインスパイアされたというし、有名曲をもじった「Girl From the Northwest Country」のタイトルから分かるようこのアルバムはにはフォーク的な曲がある。といいながら「Girl From the Northwest Country」ではサバ・ハバスが好きそうなアフリカ的なギター(ヒジャズとアラン・プロッサー)が聞かれれる曲だったりする。そうした曲には歌の本質みたいなものを抽出したようなものを期待してしまうのだが、ここではそうならず逆に仏作って魂入れず状態になってしまっている。つまり曲作りが弱すぎる。それはアンディ・ラティマーの起用曲にも言える。一番キャメルに近いというとタイトル曲となるがこれも練り足りない気がする。「Walking to Santiago」で彼がナイロン弦ギターを弾くのは珍しいのかもしれないが曲が良くなければ何も起こらない。

逆に面白いのが「Darkness on Leather Lake」だ。これはオールマン・ブラザーズ・バンド風というようなアメリカンな曲でいつもと違うラティマーが聞ける。彼が自分の音が決まる前にオールマンなどもよく聞いていた姿を想像できたりもする。キャメルとオールマン・ブラザーズ・バンドではかなり差があるように思える。そこでキャメルのオリジナル・キーボード奏者ピーター・バーデンスの『The Answer』を思い出してみよう。ギターにはピーター・グリーン、パーカッションにはローリング・ストーンズの「Sympathy for the Devil(悪魔を憐れむ歌)」に参加したことで知られるロッキー・ディジョン。こうした音を間中に置くことでオールマン・ブラザーズ・バンドやサンタナとキャメルの距離がぐっと近づくのではないだろうか。

サバ・ハバス色の強い曲は短めのインストの2曲。「Szegereli Eternal」ムスタファズの故郷シェゲレリ村をタイトルにした曲はちょっと不気味だがケムケムとヒジャズが参加。「Bubuka Bridge」はコリンのフレットレス・ベースとヒジャズの口琴に、ジャンベを叩くイスメット・ルヒマットほかのインドネシア勢が参加、こちらの方が面白い。

そのほかではコリンが70年代初頭に参加していたパブ・ロック・バンド・クランシーのことを歌った曲「In Another Time」が面白い。それ風のサウンドに絡むオイスターバンドのアラン・プロッサーのギターがとても心地よい(オイスターバンドは3ムスタファズ3関係者が参加したアルバムがあるのでその人脈か?あるいはたんにご近所さんなのかもしれない)。キャメルへの途中参加や弟キャラクター設定の印象があるのでそんなにベテランと感じないが、アンディ・ラティマーと同世代になる。なのでダムド(アンクル・パトレル・ムスタファ・ビン・ムスタファことルー・エドモンズ)やマガジン(“ヒジャズ・ムスタファことベン・マンデルソン)出身のニュー・ウェーヴ世代の3ムスタファズ3の他のメンバーより少し上の世代となる(関係ないがこの二人とレ・トリアボリックというユニットを組んだジャスティン・アダムズもライブで見るとワールド・ミュージック探究者というよりはニュー・ウェーヴ世代の音楽家と感じた)。

というわけでコリン・バスのアルバムとしてはかなり物足りないのだが、今後キャメルやサバ・ハバス・ムスタファズの次の作品にいい形でつながることを期待したい。
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