『ディパーテッド』を観賞
2006 / 11 / 27 ( Mon )
ディパーテッド/The Departed』
2007/1/20公開 公式:http://wwws.warnerbros.co.jp/thedeparted/
The Departed_DVD
DVD:2007/6/8発売

「東京国際シネシティ フェスティバル」のクロージングとして上映された
ディパーテッド』を見ました。この映画祭は「東京国際ファンタスティック映画祭」
の後継に位置づけられるらしいのですが「ファンタ」にも行ったことが無く、
この手のイベントは年に一度行くか行きませんが、
その一度を『ディパーテッド』にしてみました。

香港映画『インファナル・アフェア』(以下IA)のリメイクである本作、
IAは(脚本が魅力的であったとは言っても)役者ありきの映画だと思っていますが、
それに比べると脚本ありきの映画と言えそうです。
IAと同じように役者重視にしたらプロデューサーのブラッド・ピット、
ジョニー・デップ、トム・クルーズのうち二人を抑えなくてはいけなって
予算オーバー間違いなし。

今回のレオナルド・ディカプリオとマット・デイモンという組み合わせは
ややこぢんまりした感は否めません。その前に問題なのが
猿顔のマット・デイモンとマーク・ウォールバーグ、
大仏顔のマーティン・シーン、アレック・ボールドウィンを同じ仕事場で使うこと。
もしかしてジャック・ニコルソンの存在を際立たせるため?

登場人物は色の濃淡はあるにしろIAを踏襲していますが、
ヴェラ・ファーミガが演じるのはリー先生と小説家の二人を一人にした役です。
つまりコリン(デイモン)と付き合いながらもビリー(ディカプリオ)と出会います。
最後のお葬式での涙の意味がより複雑になりました。

ストーリーはビリーがコステロ(ニコルソン)に出会うまでが意外に時間を
かけて描かれます。それ以外はIAと同じ流れです。そのわりには
1時間近く長くなっているので間延びをしていないと言うと嘘になりますが、
退屈するほどでもありません。ダブル潜入を基本におきながら、
もう一歩踏み込んだアメリカならではの要素もあります。

キャラクターとしてはIAと比べるとビリーには疲れた感じがやや足りなく
(ディカプリオにはまだそこまでの力量がない?)、
コリンにはラウのように善人になりたいという力強いモチベーションが
足りないと感じましたが、IAは2,3もあるのでこちらの頭の中で
補完している可能性があることをお断りしておきます。
個人的にはIAではウォン警視がお気に入りなのですが、
こちらはあまり印象に残らないのが残念でした。

これを見て思ったのはIAがわりと密室的/舞台的で、
狭い空間でのやり取りに緊張感があったことでした。
画としてはIAと似た場面が多いと同時に意識して違うものにした場面も
色々とありましたが、二人のボスが遭遇する場面はもう少し工夫してほしかったです。
全体的にもやや(いい意味での)ハッタリが足りなかったように感じました。

字幕:栗原とみ子
(12/10:追記)
ディパーテッド
本作をまた見る機会に恵まれました。一回目はIAとの相違点が
どうしても気になって十分に楽しめない部分もあったわけですが、
今回は二度目ということもあり素直に楽しめました。
これが優れた映画だということに抵抗はありません。

やはり気になるのはギャングのボス、フランクを演じる
ジャック・ニコルソンの存在感でしょう。警察側が
有名俳優を揃えているのに描写が少ないのに対して、
ギャング側は目立つの彼一人という状態です。

しかもこのフランクは明らかに異常です。セックス中毒だけならともかく、
犯罪中毒といった状態で、IAのサムが香港のチンケなヤクザ風情とは
かなり違います。アメリカ本土でギャングのボスをやったらあのくらい
色々なものを背負うと言うことでしょうか。

また本作は無間地獄については無視されていると思われがちですが、
例の映画館でコリンがビリーに追い詰められそうになった場面以降は
無間地獄にはまっていると解釈しています。

それでもやはりあのビルの設定や二人のボスが遭遇する場面は不満が残ります。

サウンドトラック2種
『ディパーテッド』予告編、曲順

DVD感想(2007年6月18日)
(2007年6月18日)
まずはDVDのジャケット、これは前から嫌いな図柄な上に
明らかにBlu-ray、HD DVDの方が格好いい。
初回限定スペシャルディスクが取り出しにくい。
それから吹替えはコステロとクイーナン警部があってない。
また縦に出る字幕が消えるのが早い。

特典映像は実際にボストンを牛耳っていたギャングの話。
FBIに通じているなどこの映画のインスピレーションとなっている。
その一方で民衆から人気があった点などは削除シーンの
ビリーの父親とコステロの会話に表れている。
またスコセッシ監督のギャング映画を色々な角度から検証したものも収録。

ギャングのことを良く思っている市民がいる点などは、
削除シーンのコステロとビリーの父親との会話などに反映されている。

コメンタリーはなく「ビリーがマデリンに渡した手紙の内容」
「マドリンの子の父親」と言った終盤の謎を語らないと言うのも
ある意味では当然か、10年後に新装版が出たときにでも語るだろう。

DVDで見ることによって死の場面に散りばめられた「X」を確認することが出来る。
劇場で見たときにも思ったことだがこれという印象的な場面がないのはやや残念。
良い場面も「インファナル・アフェア」からの引用で、オリジナルの方がいい。
まあこれに関しては決め決めの「インファナル・アフェア」の方が見栄えがいいのは当然。

今年のアカデミー賞作品賞候補5作品のうちイギリス王室が舞台の
「クィーン」を除く4作品は今のアメリカの問題点を描いた作品である。
中でも内側からえぐった「ディパーテッド」と「硫黄島からの手紙」
(というより本来は「父親たちの星条旗」)はベテラン監督作品だけあって格が違う。
上層部(政府)の腐ってゆく様や実害を受ける下っ端への視線など、
二人の監督が別アプローチをとりながらもたどり着いた地点は意外に近い。

それと比較すると「リトル・ミス・サンシャイン」の斜に構えた視線や
「バベル」の安直なアンチ・アメリカな姿勢はいかにも青い。

「インファナル・アフェア」のウォン警部をクイーナン警部とディグナム刑事に
分けたことによって、クイーナンはビリーとコリンとっての父親的存在だけではなく、
絶対的な正しさを体現する人になった。ここで彼にかつてアメリカ大統領を
演じたマーティン・シーンを起用したことが生きてくる。
マドリンがマリアなら、クイーナンはイエス・キリストだ。
一方、愛国法だと言って盗聴できることを喜ぶエラービー警部は
目的のためには手段を選ばない、監督が否定的に見ている今のアメリカだ。

最後の展開を整理すると以下の通りになる。
まずマドリンが受け取ったCDはあくまでもコリンに向けたものであり
ビリーはあの時点で彼女が聞くことを想定していない。
もちろんマドリンに送った方の中身は不明だが、
コリン宛のと同様のものかビリーの地位に関するものだろう。
ディグナムへの連絡と言う可能性もあるが
例のビルの場面で警察学校同期に「ディグナムはどうした」と
聞いていることからして連絡方法が分からないとみるべきだろう。

そうなると逆にディグナムがいつコリンをネズミだと確定できたのかが問題になる。
もちろん、クイーナンを潜入としただけで疑惑はあるわけだが、
決定的な証拠はない。しかしながらコリンの警察学校同期もあの現場に
駆けつけるくらいなのだからディグナムがあそこを何らかの形で
監視していた可能性もある。むしろそう考えた方が納得できる。
手紙の内容が示していないためにディグナムがビリーの復讐を
したように感じるがクイーナンの敵討ちだからである。
悲しいことにディグナムも正義のためには手段を選ばない男なのだ。

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