『パンズ・ラビリンス』2007年ベスト映画予約
2007 / 10 / 07 ( Sun )
『パンズ・ラビリンス/El Laberinto del fauno/Pan's Labyrinth』

公式 http://www.panslabyrinth.jp/
パンズ・ラビリンス 通常版_DVD
DVD:2008/03/26発売

いつもは「エミー・ファン!フォト」「エミー・ファン!フォト」で扱うのが、「試写会ブログ」で取り上げたのでこちらで。この『パンズ・ラビリンス』はこれまでに今年見たでは一番で、これから冬の新作があるとは言え、恐らく気が変わることはないだろう。それまでの持ち味を殺すことなく、大衆に提示して見せたギレルモ・デル・トロの仕事は素晴らしく、アカデミー賞を受賞した美術他も同様。アカデミー賞で注目されたスリー・アミーゴスこと他のメキシコ人監督の作品、ストーリーを語るより技術に走ってしまったアルフォンソ・キュアロン『トゥモロー・ワールド』(技術だけなら撮影賞はこの映画のはず)、主張の軽さと手法の重さがかみ合っていないアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ『バベル』(これが作曲賞とは信じられない。一番記憶にのこている曲は坂本龍一の「美貌の青空」であり、本編の音楽はライ・クーダーの劣化版というレベルである)、と比べても優れている。その一方で外国語映画賞に投票できる一部の限られた人がそれまでゲテ映画を撮ってきた『パンズ・ラビリンス』より『善き人のためのソナタ』を選んだことも理解できる。しかしながらどちらが監督のやりたいことをやりきっているかというと、さすがにキャリアの差から来る力量の差は歴然としていて前者である。つまりそれは今年度の助演女優レースで最も助演にふさわしいのはアドリアナ・バラッザだったが、受賞したのはジェニァー・ハドソンだったというのと同じでよくあることである。

さて、この映画の脚本は海外の公式ページから入手できるので、その英語版が参考になる。映画を見てもわかるのだが音でも英語字幕でもPanという言葉は出てこない。それなのに配給会社の方針なのか日本ではパンとしか紹介されるという誤解を招きかねない現象は不思議としかいいようがない。スペイン語題にあるFauno/フォーン(英語脚本ではFaun)だと指摘しているのはテレビブロス大森望氏の記事くらいのものである。本作の素晴らしさは簡単に言えば映像センスと物語性の見事なバランスにある。同じくスペインを舞台にした『デビルズ・バックボーン』では、地下貯水池を持ち込むことで無理やりホラー空間を作り出したが、今回は同じ時期の話でも森を舞台にしてフォーンや迷宮という存在にも無理がない。さらに直接的に戦争を題材にしたことで悲劇性もよく出ている。

そしてなりよりもオフェリア、ビダル、メルセデスらの、姉と弟、親と息子といった登場人物の見事なバランス。さらにはオフェリアを演じたイバナ・バケロが放つなんとも微妙な年頃と言う存在感は監督の期待以上のものだったに違いない。

まだ言い足りないので、「ロリコン映画」「モンスター映画」「戦争映画」という切り口でもう少し深く語る予定。なんと新聞広告によるとゴマブックスよりノベライズが出る。

テーマ:パンズ・ラビリンス - ジャンル:映画

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コメント
--こんばんは。--

脚本が公式ページから入手できるなんて
すばらしいですね。
日本の公式ページにも
日本語の脚本を載せてくれればいいのに、と
思いました。
物語も映像もみごとな映画です。
by: ジョー * 2007/10/12 23:25 * URL [ 編集 ] | page top
--脚本だけに頼ってはだめですが--

ジョーさん、コメントありがとうございます。
正確な脚本があると前後関係の確認などには便利ですよね。
その反面、それに頼り過ぎて固まった解釈しかできなくなる危険もあります。
でも、サントラのところで書いたガリシアの子守唄は
脚本がないと分からない情報なので使いました。
by: JK * 2007/10/14 20:01 * URL [ 編集 ] | page top
----

こんにちは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
映画「パンズ・ラビリンス」、いい映画でしたね。
私もブログでとりあげています。
よかったら、寄ってみてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
by: kemukemu * 2007/11/10 21:16 * URL [ 編集 ] | page top
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