『シルク/SILK/SETA/SOIE』
2008/01/19公開 公式:
http://silk-movie.com/
DVD:2008/05/23発売
一見すると文芸作品のような印象を受ける本作ですが実は珍作です。なんと言っても原作の『絹』がトンデモ系の小説で、作者自身が日本版でエクスキューズしているように、イタリア人がよく下調べもせずに自分の想像力を屈指して描いた日本や昔のフランスでしかありません。それでもある種の美しい表現があることは否定できません。イタリア人がフランスと日本を舞台にし、主人公が英語を話すと言う意味では『パヒューム』に似ています。
この映画はそうした問題のある小説の世界観をそのまま持ち込んで失敗しています。映画も小説同様にスカスカです。人物描写がされていると感じるのはかろうじて主人公のエルヴェのみで、彼にしても観客が感情移入出来るような人物ではありません。この原作を映像化するなら一点豪華主義にすべきでしょう。どこに力点を置けばいいかと言うと衣装、風景、色彩感覚しかありません。
さてこの映画を見て小説と違う印象を受けたのは他ならぬエレーヌ(キーラ・ナイトレイ)でした。小説では印象の薄い(それゆえに最後にインパクトを残します)彼女は、映画での扱いが格段によくなったという感じは受けないのですが、小説では1行で済むような描写も映像で見ると存在感が違います。もちろんキャスト中で一番知名度があるキーラにはスター・オーラもあります。それが表に出ずに裏から支えているのが、この映画の弱い点でもあります。また『ダ・ヴィンチ・コード』『スパイダーマン2』『フリーダ』とどこの国の人間を演じても似合ってしまうアルフレッド・モリーナはここでも健在です。日本人では中谷美紀より芦名星、役所広司より國村隼が印象に残りました。というか中谷、役所の両人はやや損な役なのかもしれません。というわけで美しさを引き立てるだけの物語がないので、印象としてはアート・シアター系の映画です。

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「シルク」★★☆
マイケル・ピット、役所広司、キーラ・ナイトレイ出演
フランソワ・ジラール監督、日本 イギリス イタリア カナダ フランス
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(C) 2006 Jacques-Yves Gucia/ Picturehouse Productions
『シルク』
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