エミー・ロッサム『インサイド・アウト』全曲解説:後編
2008 / 04 / 22 ( Tue )
「ララバイ」ハァー・コーラスから始まり、それが中盤にも使われるタイトル通りに穏やかな曲調と歌声が母性を感じさせる1曲。面白いのはリエゾンをして"んにゃ"と聞こえるところ。これはアイルランドのシンガーを思い出したが、具体的に誰の歌だったか思い出せない。今回色々と聞いてみてクラナドをあげておく。ボーカルはエンヤの姉こと、モイヤ・ブレナン。エンヤが在籍し、彼女のプロデューサーでもあるニッキー・ライアンがプロデュースした『ファム』からの曲「美しい若者」(ビクター盤邦題は「素敵な彼ら」)。残念ながらアルバムは持っていないのでベスト盤『妖精のレジェンド~ベスト・オブ・グラナド 』から。蛇足ながらこの頃のクラナドはベースが実にかっこいい。
「ドント・ストップ・ナウ」バックの静けさと情熱を秘めたボーカルがうまくマッチングした曲で、エミーの表現力がよく出ている。バックで鳴っているリズムマシンで連想するのはフィル・コリンズだが、それだと古過ぎるのでシネイド・オコナー「サンキュー・フォー・ヒアリング・ミー」(『ユニヴァーサル・マザー』)とまたまたダイドのファーストから「スライド」をあげておく。隠し味としてシガー・ロスの「シエ・レスト」(『Takk…』)あたりも入っているだろうか。
「ハイ」またしてもボーカルから始まるこの曲は、実は最後まで参考となる曲がなかなか思い浮かばなかった。声の感じはダイドに近いのだが、彼女にはあまり明るい曲調がないので違う。クランベリーズの「オードゥ・トゥ・マイ・ファミリー」(『ノー・ニード・トゥ・アーギュ 』)やデヴィッド・グレイの「ラスト・ボート・トゥ・アメリカ」(『ア・ニュー・デイ・アット・ミッドナイト』)は似ているがやはり曲調が違う。色々と探した結果、スチュアート・ブローリーがブランディーに提供した「カム・ア・リトル・クローサー」(『フル・ムーン』) が一番近かった。しかしこの曲のポイントはなんと言ってもその高揚感だ。これはシガー・ロスの「ホッピポッラ」(『Takk…』)のそれにも似た独特のものがある。
「ア・ミリオン・ピーシズ」ストリングスも印象的なこの静かで美しい曲が個人的にはアルバムで一番の出来だと思う。声の使い分けもお見事。アレンジとリズムはJEMの「ステイ・ナウ」(『ファイナリー・ウォークン』)に、後半の盛り上がりはフル・フルの「イッツ・グッド・トゥ・ビー・イン・ラヴ」。さらにはこの名前を出すのは安易だと言われそうだがケイト・ブッシュの「ディーリアス(夏の歌)」(『魔物語』)も似たような雰囲気があるということであげておこう。
「雨の日と月曜日は」ポール・ウィリアムスとロジャー・ニコルズのペンによるカーペンターズのこの曲は、ほとんどのベスト盤に入っている彼らの代表曲の一つ。アルバムとしてはセルフ・タイトルの3枚目に収録。カーペンターズはオリジナル・アルバムよりはベスト盤でという人も少なくないだろうが、アルバム単位で聞くと改めてリチャード・カーペンターの存在を強く感じるという、極当たり前の感想を持つ。有名曲なだけにカバーも多いが作者のポール・ウィリアムスも自身のアルバム『友に捧げる詩』で歌っているのでカーペンターズの歌と比較してみよう。カレンの歌は全体的には憂鬱をかもし出しながらも、リチャードの声と合わせて仄かな明るさも感じさせるのに対して、ポール・ウィリアムスはいかにも憂鬱そうだ。歌詞からすると後者の方が正しいのかもしれないが、それだけでないニュアンスを出すところがカレンのボーカリストして凄いところだ。エミーのアレンジは「スロー・ミー・ダウン」風のアレンジが窓を締め切った雨の日を連想させる歌詞に忠実な印象だ。
「エニイモア」この曲は「グレート・ディヴァイン」と同じくドリー・パートンの歌に影響を受けたと言う曲だが、歌詞が会えない父親のことを歌っているだけあり、実にエモーショナルなボーカルとなっている。「歌追い人」のサウンドトラックだとアイリス・ディメント 「プリティ・サロ」 が一番近いか。ドリー・パートンはキャリアがとてつもなく長いのでベスト盤と最新作しか知らないので、影響云々を指摘することはできない。その最新作『バックウッズ・バービー』は久々のカントリー・アルバムということになるとのこと、「メイド・オブ・ストーン」などこの曲に似ているのではないかと思う。ドリーは外見が派手なだけに誤解されやすいが、ソングライターとしても優れていて、「オールウェイズ・ラヴ・ユー」などは『ボディガード』でのホイットニー・ヒューストンの熱唱もいいが、オリジナルもいい。
23 : 38 : 20 | デビュー・アルバム『Inside Out』 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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