フランス映画『水の中のつぼみ』を見てみた
2008 / 07 / 14 ( Mon ) 水の中のつぼみ/Naissance des Pieuvres/Water Lilies
http://tsubomi-movie.jp/ 軽めの同性描写と言うことでショートフィルム版『Dare』と似ているフランス映画。まずは『Dare』に絡めない感想から。 この映画の監督はロリコン/スケベ親父か女性か。事前に知っていたわけだが、その確証がほしいと思いながらしばらく見ていた。やがて女が嫌う女と言うが描かれていたので、女性だと確信した。主人公マリーは15歳で、幼いというよりはガリガリ。友人のアンヌはぽっちゃり体型(でもシンクロをやっている)。マリーが憧れるフロリアーヌは体型や態度はもう大人。核となるフロリアーヌとマリーは、アメリカ映画ならタイプの違う美少女をキャスティングしただろうが、マリーは違う。方向性は確かに対極なのだが、立ち位置が違うので軸の反対側とは感じさせない、この微妙さがフランス映画らしくていい。さらにそこにおデブのアンヌが加わることでリアリティが出てくる(結果的に彼女が他の二人より進んでしまうのは青春映画ではお約束)。とは言え最後には対になっているのはマリーとアンヌではないかと思わせる。 同性愛と言ってもそんなに深刻なものではなく、本当にその嗜好があるというよりは興味があるといったほうが近い。要するに本人たちも自分のことがよく分かっていないのだ。監督のインタビューによるとシンクロを扱ったのは水面下の激しい動きと、水上での作られた笑顔の対比のためだそうだ(日本で言う白鳥の動きだ)。それらは彼女たちの外見と内面のズレとも重なる。さらに大人と男性の不在も意識してやったものそうだが、親が出てこないので初めはアンヌがマリーノの姉と勘違いしかけた。アンヌがバーガーショップで、お子様セットを買えなくて逆切れする様子が笑える。3人の女優はどれも良い。 ここからはショートフィルム版『Dare』との比較。 共通点としてはまずプールの存在。水は秘密の象徴であり、水面下での出来事は秘密。マリーがプールに潜りシンクロの様子を見るのは面白い。同性愛描写が薄い(あるいはあまり直接的ではない)のも同様。どちらの映画の登場人物たちも映画の中の出来事は思い出として収まるところに収まるような気がする。大人がいなのは『水の中のつぼみ』は狙い、『Dare』は時間と予算の都合上だろう。 |
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