『インクレディブル・ハルク』を試写会で観賞
2008 / 07 / 25 ( Fri )
インクレディブル・ハルク/The Incredible Hulk
2008/08/01公開 公式:http://www.sonypictures.jp/movies/theincrediblehulk/

インクレディブル・ハルク デラックス・コレクターズ・エディション
DVD 2008/02/25発売
『スパイダーマン』をソニー、『X-MEN』を20世紀フォックスにと各社にばら売りしてきたマーベル・コミックですが、が自社製作として乗り出した第一弾と第二弾が『アイアンマン』とこの『インクレディブル・ハルク』です。自社製作の利点はアメリカン・コミックではお馴染みのゲスト出演やスーパー・チームの結成などが配給会社の壁を気にすることなく可能になることです。と言ってもワーナーが独占しているDCコミックでさえその手の企画はなかなか進まないので一番の問題は権利ではなく、やる気でしょう。すでに『The Avengers』という映画の製作がアナウンスされています。映画の中でもニック・フューリーやシールドという言葉が劇中で言及されていて、映画のラストはそれを暗示するものになっているのですが、全米とは第一弾と第二弾の公開順が逆になっているのでやや筋が通らないことになっています。はっきり言って思わせぶりな終わり方はアメコミ映画にはつきものなので特に気にすることはありません。

さてこの作品の前にアン・リー監督の『ハルク』というのがあって、一般的には失敗作とされています。ジョシュ・ルーカス演じるタルボットがやられるときにコミック風の処理は笑えたことは覚えています。公開当時に、監督本人が戦車を振り回してモーション・キャプチャーしている映像を見たことがありますが、あれは見ていて悲しくなりました。ハルクが大き過ぎる、ハルクが登場するまでが長い、父子間の断絶に集約される悲劇が鬱陶しい等の問題点は今回改善されています。すっかり顔ぶれが変わった(一応前作の設定をなんとなく引き継いでいます)キャスティングは、エリック・バナからエドワード・ノートンへ、これは当時無名に近かったバナなのでノートンの圧勝。ジェニファー・コネリーからリヴ・タイラー、リヴの濡れた目も捨てがたいですが、瞳ならオスカー女優(と言ってもキャスティングの受賞前)のジェニファーも負けてないと言うことで、こちらの僅差勝ち(リヴは眼の下に隈のようなラインが気になります)。ロス将軍を演じるウィリアム・ハートはヒゲをつけてサム・エリオットよりはややコスプレ調。全体的には手堅いところでまとめているので最終的には主役の知名度で今作の勝利と言うことにしておきます。

本作ではハルクことブルース・バナーはオープニングではアメリカから逃れてブラジルで暮らしています。心拍数が高まるとハルクになってしまうので常に心拍計を気にし、なぜかグレイシー柔術で心を鍛錬しながらジュース工場に勤めています。その一方ネット上でミスター・ブルーなる科学者と接触して自分の身体を元に戻す努力をしますが、結局はじかに会わないとダメだと気付かされます。

アクション・シーンは三つです。一つ目はブラジル、ブルースの血液がジュースの中に混ざってしまい、それを飲んだアメリカ人(さて、誰でしょう)の症状で彼がブラジルにいたことがばれてロス将軍の部隊がブラジルに乗り込みます。この場面はハルク変身の現場にたどり着く前のブルースの逃走が『ボーン・アルティメイタム』や『カジノ・ロワイヤル』のそれのようでかっこいいです。またここでは夜明け前の薄暗い中でハルクの姿をはっきりと見せないように工夫されています。となると次は白日の下での戦闘です。ここではハルクの動きと力を思い切り見せ付けてくれます。このときに特殊部隊員エミル・ブロンスキー(ティム・ロス)がハルクにあっさりやられて、彼が人体改造計画であるスーパー・ソルジャー計画に深入りし、やがてはそれが怪物アボミネーションを生み出すことになります。そして最後は夜のニューヨークでハルク対アボミネーションです。夜とは言え見づらいことはなく、この二人(?)の対決はしっかりと見せてくれます。ちなみにアボミネーションは知性もそれなりに残っていて喋ったりもします。これに対してミスター・ブルーの治療により一度は正常に戻ったかに見えたブルースが自らの意思で変身するハルクも以前よりは知性があるようで、前半こそ肉体のぶつかり合いですが最後には一工夫あります。

ブルースを取り巻く人間関係は『ハルク』が重点を置いたエディプスコンプレックスとは違いあっさりとしたものになっています。その分ハルクに変身する恐怖が中心となっていて、これにベティとの関係を絡める辺りはエドワード・ノートンの意見が反映されているのでしょう。洞窟での美女と野獣のやりとりは『キング・コング』を思い出します。ベティには恋人らしき人物はいますが、彼の存在はとても小さくて彼女とブルースとの障害にはなりません。ブロンスキーはロス将軍に唆されて肉体改造を行うわけですが、ブルースの事故もその実験の一環だったことが明らかになるので、今回憎まれる父親像を担当しているのは将軍ということになりそうです。

将軍が人体実験と倫理観の間で悩むことはないので、本当はどのような人物なのか分からないのが難点ですが、それがミステリアスな雰囲気を出しているということにしておきます。ちなみにブロンスキーは現場至上主義の肉体増強オタク、ミスター・ブルーは倫理など省みない科学オタクで、この二人にはしっぺ返しがあります。

ハルクというキャラクターの設定上CGに頼らないといけないので、生の感覚を持ち込めず、変身してしまうと感情移入もできないという弱点はありますが。その点を考慮すればコミックの映画化としては上出来です。心拍数が上がるのでベティと愛し合えないとか、巨大化に備えて伸びる素材のパンツを買うとか、そんなところにリアリティを求めなくても思う場面が、逆に笑えます。さて次作、あるいは『The Avengers』でどんなハルク/ブルース・バナーが見られるのでしょう。スタジオをもめることが多いエドワード・ノートンだけにそう簡単に協力しない姿が似合うと思います。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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