『イントゥ・ザ・ワイルド』を試写会で観賞
2008 / 08 / 25 ( Mon )
イントゥ・ザ・ワイルド/Into the Wild
2008/09/06公開 公式:http://intothewild.jp/
イントゥ・ザ・ワイルド
DVD 2009/02/27発売

「自分探しの旅」は好きですか?ワタシは大嫌いです。ストーリーを読む限り主人公はいかにもインテリ崩れの自然志向を思わせる(だめ押し的に監督がショーン・ペン)『イントゥ・ザ・ワイルド』ですが、これは見ごたえがあります。まずは主人公の両親にウィリアム・ハートとマーシャ・ゲイ・ハーデン、妹にジェナ・マローン、アウトサイダー・キャンプ(?)で出会う少女にクリステン・スチュワート(かわいい)。そして旅先で会う男にヴィンス・ヴォーン、ヒッピー女性にキャサリン・キーナー(さすがに何でもこなす人です)。そして旅先で一番心を開くことになる老人に、アカデミー賞にノミネートされたハル・ホルブルック(これぞザ・助演!)と、列挙するなんてバカみたいですが、映画ファンならこれがいかにはまっているか分かるでしょう。

主人公のクリス・マッカンドレスがアラスカに旅立った理由は基本的には両親への反抗ということになっています。そこはやや単純化されている気がします。家庭内暴力も出てきますが、むしろそれはほのめかす程度の方が効果的だったかもしれません。ウィリアム・ハートとマーシャ・ゲイ・ハーデンもやや損な役回りになっています。二人の外見も90年代とは思えない一昔前の夫婦という感じがします(もしかして古きよきアメリカのパロディ?)。

この映画にショーン・ペンが入れ込んでいるのはよく分かります。この彼の事件と原作本が出たのはペン監督が三十代に入ったころです。自分の二十代を振り返って一般人よりは恵まれた環境にいたとしても、やりたくても出来なかったことも色々と思い浮かべていたと思います。クリスのことを、ペン監督自身が出来ない(やりたかった)ことをやった男としてとらえているのでしょう。ここでのエミール・ハーシュはそんなペン監督の分身でもあります。ということで画面上では学業優秀な青年がワイルドになったと言うよりは、若手ハンサム俳優がワイルドになったように見えますが、体重を減らしたその姿は迫真の演技には違いありません。無免許川下りのシーンなどはワイルドな感じがよく撮れています。青年の成長物語として見ると無賃乗車した列車から追い出される辺りがいい出来です。キャンプで歌まで披露するクリステン・スチュワートは今ひとつにも感じますが(妹役のジェナ・マローンと入れ替えても面白かったかも)、そこが逆にリアルだとという見方も出来ます。他の俳優もいいキャスティングだと思うのですがヴィンス・ヴォーンだけが活躍しなくて少々残念でした。

この映画で一番興味深いのはハル・ホルブルック演じる老人とクリスのやりとりです。語られる内容は脚本家ショーン・ペンの当初の思わくを超えているのではとすら思えます(作家のペンが勝手に動くというやつです)。ここでのクリスは単なる逃避の旅以上のものを見いだしていると感じました。クリスがなぜアラスカを目指したのか?サイケデリック時代にヒッピーが西海岸に向かったのは温暖な気候やフロンティア伝説の名残もあったはずです。現代ではアラスカはアメリカにとって残されたフロンティアでもあるわけですが、気候のことを考えれば厳しさを求める彼にとってはふさわしいのでしょう。春にアラスカに入ったことから分かるように彼はここに死に来たのではなく一種の通過儀礼として選んだのだと思います。また彼がアラスカに向かった理由は登山家に「どうして山に登るのか」と聞くことに似ていいます。その答えは「そこに山があるから」や「下りるために」になるのでしょう。となるとクリスには帰るべき「家」があるべきなのです。自分とは縁もゆかりもない老人から養子の話を切り出されて新たな「家」が出来る可能性がある一方で、両親のごたごたをクリスと一緒に体験してきた妹(一部ナレーションも担当)は、兄とは同志なので両親のいる家に帰りたくなくても、彼女のいる「家」に帰りたいと思うのはありなのです。ペン監督はこの「家」の存在を認めたくないのか、どちらが「家」にふさわしいかはあいまいで、そこはこの映画の良い点でもあり弱点でもあると思います。

映像としてはグランドキャニオン、メキシコ近郊、砂漠、そしてアラスカと都会ではないアメリカの雄大な光景を見せてくれます。アラスカに入ってからは動物、植物そして川(!)と言った生物をクリスと対比させます。ヘラジカのエピソードは自然の厳しさとクリスのアラスカで暮らす人間としての力不足がよく出ています。そして最後は自分の即席の知識が彼を破滅へと導きます。ラストはショーン・ペンにしては音の使い方も含めてベタではと思うのですが、あれが効果的だったのは認めます。音楽担当はマイケル・ブルックとカーキ・キングですが、むしろ中心はエディ・ヴェダーの歌です。最後の曲には字幕が付くのですが、本編でも字幕が付いた方が分かりやすかったでしょう。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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