映画版『スローターハウス5』を見る
2008 / 10 / 15 ( Wed )
スローターハウス5 ハヤカワ文庫
スローターハウス5/カート・ヴォネガット (ハヤカワ文庫)

2007年にカート・ヴォネガットが亡くなったときにハヤカワから出ていた著作の多くが入手困難状態だったのだが、いつの間にか増刷されて書店に並んでいる。いいことだと思うが増刷なので大々的にキャンペーンを打つわけでもなく情報が伝わっているかはやや心配になる。さて『スローターハウス5』は1971年に映画化されている。さすがにアメリカではDVDになっているが、日本では出ていない今作のビデオをワゴンセールで買った。値段は3本でン円、他の2本をどうするか少し迷った。

監督は『明日に向って撃て!』『スティング 』『ガープの世界』のジョージ・ロイ・ヒル。音楽はグレン・グールド。限りなくタイムスリップを繰り返すこの映画ではとくに重要であろう編集はデデ・アレン、『狼たちの午後』『レッズ』『ワンダー・ボーイズ』と3回アカデミー賞にノミネートされている。1925年生まれながらまだ現役のようで2008年の映画にもクレジットがある。

自分の意思とは関係なくタイムスリップすることになるビリー・ビルグリムを主人公にした本作は、ビリーの立場から見れば自分で人生を決めることが出来ないイライラを表現したした物語なのだが、ギレルモ・デル・トロによる再映画化が噂されるようにストレス過多の現代人には共感できる点が多いと思う。とは言え原作者の体験を考えればこの映画の核もドレスデン爆撃にあると考えるのが自然だろう。ビリーの奇妙な人生もSF的に解釈しなければ戦争が生んだ悲劇だ。映画の中のビリーは無垢な部分を残しながら不安に対処する青年期、諦めを感じさせる中年期という風になっている。今のストレス社会はビリーやヴォネガットが体験したものに比べれば軽いのかもしれないが当事者にしてみれば大変なことには変わりない。

ラストは小説よりも分かりやすく、ここは映画を先に見るのもいいかもしれないが、ソフトがないので無意味だ。そういうものかもしれない。
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