『それでも恋するバルセロナ』試写会。 『愛を読むひと』とは比べものにならない
2009 / 06 / 20 ( Sat )
それでも恋するバルセロナ / Vicky Cristina Barcelona
2009/06/27公開 公式http://sore-koi.asmik-ace.co.jp/
それでも恋するバルセロナ [DVD]
DVD 2009/11/27発売

ウディ・アレン監督の新作です。イギリスを舞台に『マッチポイント』では一見悲劇に見えながらも実は登場人物たちの行動パターンは喜劇、『タロットカード殺人事件』では本人も出演して英国風コメディの小品という2作を発表したW・アレンが次の舞台に選んだのはスペインのバルセロナ、ヒロインは2作に続きスカーレット・ヨハンソンです。

映画の序盤では不覚にもクスクスと何回か笑ってしまいました。というのもあまりにセリフやシチュエーションが陳腐だからです。女友達の組み合わせはスカーレット・ヨハンソンが積極的なクリスティーナ、『フロスト×ニクソン』のレベッカ・ホールは保守的なヴィッキーとなんのひねりもありません。

2人が旅先のバルセロナで魅力的な画家のフアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)と出会い、彼に誘われます。2人の態度は正反対なのに結局は3人でバルセロナから別の街へ。そこで起こるのは意外なこと…のはずですが、見ているこちらからすると何の意外性もなく、こらこらと突っ込みたくなります。さらにはナレーション、これが多いだけでも問題なのに語り手は登場人物と何の関係もない第三者によるものです。ナレーターに語らせるのではなく演技をつけることによって観客に分からせることが監督の手腕の見せ所なはずです。上映時間の短さも考え合わせると、これはもう手抜きといってもいい次元です。

そんな退屈な時間が1時間ほど続きますがそこを救ってくれるのがペネロペ・クルス、結論から言うとこの映画を支えているのは2人のスペイン人です。『ノーカントリー』以降『コレラの時代の愛』に『ノーカントリー』と変態に卑怯者と変な役ばかりの作品が続いたハビエル・バルデムですが、ここでは久しぶりに色男役です。その余裕のあるたたずまいはアメリカ娘2人が惹かれるのも納得できます。そしてペネロペ・クルス、彼女が演じるマリア・エレーナはフアン・アントニオの元妻の芸術家で、彼を刺そうとしようとしたという激しい感情の持ち主です。なにせ登場するのも自殺未遂で病院に担ぎ込まれたというのですから、その激しさが分かります。感情が高ぶるとスペイン語でまくし立てるあたりは脚本に技ありといった感じでかなり面白いです。それの横で「アメリカ人の前では英語を話せ!」というフアンにもニヤニヤしてしまいます。

またマリア・エレーナの存在はミューズとなっていてフアン・アントニオの芸術が彼女の影響下にあるのがよく分かるだけでなく、アメリカ娘が芸術に目覚めてしまうという展開は前半と同じくらいに陳腐なのですが、こちらの方がまた流れてしては納得できました。それでもマリアの退場の仕方とラストはやはり中途半端でぶつ切りに感じられます。あとパトリシア・クラークソンの出番は少ないですが、彼女はアレンの次回作にも出演します。

本来のヒロインはスカーレット・ヨハンソンですが、本作ではブロンドが必要以上に強調されて「あなた、アメリカのバカ娘をやらされていますよ!」と声をかけたくなるくらいです。これはクリスティーナとヴィッキーを髪の色で対比させる意味があるというよりは、アレンが3作続けて起用してきたヨハンソンに飽きてきたようにしか見えません。次回作『Whatever Works』のヒロインはヨハンソンより若いエヴァン・レイチェル・ウッド、予告を見るとこちらもブロンドです。でもこの2人を比べるとヨハンソンはアレンの恋愛ストライク・ゾーン、レイチェル・ウッドはそのゾーンではなく愛でる対象という風に見えるのですが、どうでしょう。どちらにしてもエロじじい視点には変わりありません。

撮影はスペイン人のハビエル・アギーレサロベ、南ヨーロッパの豊かな光というよりは建築物の色を連想させるやや埃っぽい色合いなのでバルセロナ観光映画としては弱いように感じました。空港で始まり空港で終わる本作は、ここ数年親しんだヨーロッパを去り、ついにニューヨークへのカムバックを決めたウディ・アレンの心情が微妙に反映している作品になったようです。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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