『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』試写会 『サブウェイ123 激突』のほうがまだ楽しめる
2009 / 09 / 04 ( Fri )
ウルヴァリン:X-MEN ZERO / X-Men Origins: Wolverine
2009/09/11公開 公式:http://movies.foxjapan.com/wolverine/
ウルヴァリン:X-MEN ZERO <2枚組特別編>〔初回生産限定〕 [DVD]
DVD:2010/02/03発売

『ハリー・ポッター』シリーズの主役3人組はもうかなり成長して、役との整合性をとるのが大変だと思いますが、年をとらない男ウルヴァリンを10年近く演じるヒュー・ジャックマンも大変です。顔はもみあげとヒゲでかなりごまかせますが、体形に関してはかなり鍛えないといけません。この『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』ではその成果が出ていて裸のアピール度は『X-MEN』シリーズ3作より高いかもしれません。ウルヴァリンは記憶がないのでコミックでも彼の過去の設定には様々なものがあり、どんな設定をしても平気だという利点があります。今回はウルヴァリンのライバルとして知られるセイバートゥースを兄弟として登場させ、リーヴ・シュレイバーという演技ができる俳優をキャスティングしたことがポイントでしょう。なにせ『X-MEN』1作目ではプロレスラーが演じてほとんど演技らしい演技はありませんでしたから(ここではレイ・パーク先生が素顔で出演していますね)、でもシュレイバーが演じてもセイバートゥースはアニマル、少ししゃべりが多いアニマルです。

監督は『ツォツィ』『Rendition』のギャヴィン・フッドですが、残念ながら適任ではなかったようです。映画は1845年ローガンが親を殺してしまい、ビクター(セイバートゥース)と逃げるところから始まります。そして二人は南北戦争から二つの世界大戦、ベトナム戦争に参加します。ここで思い出したのは『ウォッチメン』の"時代は変わる"でしたが、あちらの見事さと比べるとこちらは淡白なものです。物語に深みを与えるなら、少年二人によるサバイバル生活、軍への入隊や戦争体験といったものを有効に使いミュータントの悲しみやある年齢から年をとらない肉体を持ってしまった苦悩を描くべきだと思うのですが、そのあたりは省略しています。

やがてローガンとビクターはベトナムで軍人であるストライカーにスカウトされてミュータント部隊に入ります。その一員としてアフリカにあるものを獲りに採りに行きます(これがアダマンチウムであることは『X-MEN』シリーズを見ていれば分かるのですが、この時点ではストライカーしかその価値を知りません)。しかしローガンはストライカーのやり方に嫌気がさして抜け、数年後にケイラという女性と平穏な生活をするようになります。やがて部隊にいたミュータントたちが次々に殺され、ローガンの身の回りも危なくなってゆくことになります。ありがちな展開ではありますが、この流れも『ウォッチメン』に似ています。でも平坦な演出なのでスリルが生まれません。

アクションではまずアフリカでミュータント部隊がそれぞれの能力を使って戦う場面があります。ここで二丁拳銃の使い手と刀の使い手が別々に出てくるのですが、クリスチャン・ベイルなら"GUN-KATAならひとりで十分ですよ"と言うでしょう。この場面はテンポが悪く間延びしています。これよりひどいのがラストバトルです。ウェポンXであるウルヴァリンとウェポンXIとの対決なのですが、ウェポンXIがスタントだとまる分かりなので白けてしまいました。ここはもっと生身の肉体を感じさせないと説得力が生まれません。良かったのは予告でも印象的だったヘリコプターとの対決やバイクに乗ったウルヴァリンが活躍するアクションです。ここはヒュー・ジャックマンもカッコよく撮れていています。このデコボコ加減からすると監督はアクションが苦手なのでしょう。

ウルヴァリン以外のキャラクターはストライカーとセイバートゥースを別格としてあまり印象に残りません。それらをほとんど知名度の低い俳優が演じ、出演時間も少ないので仕方ありません。中では『X-MEN』シリーズではアウトロー的なキャラクターがウルヴァリンと被るためか登場しなかったレミー・ルボーことガンビット(テイラー・キッチュ)が可能性を感じさせてくれました。若きスコット・サマーズなどはほとんどギャグ扱いでいいのでしょうか。ウルヴァリンの恋人ケイラも地味で妹の方がまだかわいかったというのも困りものです。

物語としてはストライカーが何に対して戦っているのがもうひとつ分かりません。『X-MEN 2』にあったようにミュータントであった息子への恨みについては分かるのですが、実際に息子のことについて詳しく説明されないので理由としては弱くなっています。まだ冷戦時代のはずなのでソ連を絡ませるなど色々なやり方はあったはずです。ベトナム戦争の話以降時代を感じさせる風俗や音楽はほとんど出てこないもの不思議でした(ラストバトルの舞台がそうなのかもしれません)。そういえばマグニートの影も感じません。ついでにスタン・リー先生もいません。

ミュータントの苦悩がほとんど描かれることもなく(それでも監督は社会性云々と言いたがるのでしょう)、単にエピソードが消化されるだけのこの映画はおそらく監督の人選からはじまって、メーン3人以外のキャスティングなどほとんどのことが悪い方向へ転がってしまったようです。公開当事は文句もあったけど『X-MEN 3』のブレット・ラトナーは健闘していたのだなあと今になって思います。それでもヒュー・ジャックマンの俺様映画としては機能すると思います(だから他のキャラクターが目立たないのか)。

(追記)そういえば今週はディズニーがマーヴル買収のニュースがありました。世間ではスパイダーマンとミッキーが共演?などとなっていますが、その類があるとしてもテレビ用のアニメか、ゲームくらいでしょう。狙いはおそらく10代、20代男子の取り込み。実はこの映画に出演しているリン・コリンズとテイラー・キッチュはピクサーのアンドリュー・スタントンが監督する実写映画『John Carter of Mars』に出演しています。すでにこんなところにつながりがあるのですね。

【かなりのネタバレ】
【『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』 かなりのネタバレ】
エンド・クレジットのあとにおまけ映像があるのですが、これを見て変だなと思ったので家に帰ってから調べました。どうやらおまけには2パターンあるようです。今回見たのはウルヴァリンと関係がない方でした。ずばり言ってこれはハズレです。日本に来ているフィルムがこのパターンしかないという最悪の事態になっていたらブーイングしましょう。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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コメント
--2パターン!?--

こんにちは。

おまけに2パターンがあるんですか?
ちょっと、その違いというのが気になります。
by: えい * 2009/09/05 14:55 * URL [ 編集 ] | page top
--ネタバレつづき--

ボクが見たほうだとヒュー・ジャックマンが"次回作の舞台は日本"だという理由がわからないのですよ(笑)。
by: JK * 2009/09/06 21:22 * URL [ 編集 ] | page top
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