Ellipse (Bonus Track Version) / Imogen Heap イモージェン・ヒープ『楕円』
2009 / 09 / 29 ( Tue )
Ellipse (Bonus Track Version) by Imogen Heap
Ellipse (Expanded Edition) / Imogen Heap

イモージェン・ヒープの新作『楕円』が海外と時間差がなく発売されたのにあまり話題になっていない、音楽雑誌発売サイクルとうまくかみ合わない面もあったのかもしれない。個人的には3枚目のアルバムにして彼女の個性は確立されたと思っている。

これまでの2枚のアルバム+1を振り返ってみると、デビュー作『I Megaphone』は1998年発表。A&MレコードのMことジェリー・モスのAlmo Soundsからデビューしたイギリス人女性シンガーだったが、世の中はまさにアラニス・モリセット・シンドロームの真っ只中で、ギターがガッ、ガッとかき鳴らされ癖のある節回しで歌う曲(実はアラニスを説明としてはふさわしくないと思うのだが)はアラニス、ピアノ曲ではトーリ・エイモスのように聞こえる。本人がいくら否定しようとまあそういう時代だったのだ。

ここで彼女はデビュー・アルバムのプロデューサー、ガイ・シグスワースとのプロジェクトであるFrou Frou/フルフル名義で2002年に『Details』を発表する。ここでは歌手から一歩引いたプレイヤー的立場で音作りをしてサウンド志向になっている。エレクトロニクスを大胆に導入し、歌もそこに溶け込むような作りがなんともクールだ。ここからはテレビや映画に使われる曲も生まれ、注目されるきっかけになる。

そして2005年に発表されたソロ2枚の『ひとりごと~Speak For Yourself~』は1枚目とフル・フルを合わせたような作品となった。つまり「ヘッドロック」、「ルース・エンズ」、「デイライト・ロベリー」、「アイ・アム・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」のようにバックの音が比較的に激しいかアラニス的な歌唱が聞ける曲と、アンビエントとも言える静けさを持った曲という二面である。さらには多重録音コーラスをうまく使った曲も特徴的である。彼女がアルバムに参加したことあるジェフ・ベックにギターを弾いてもらった曲もある。「ハイド・アンド・シーク」は現在ヒット中のJason DeRuloの「Whatcha Say」にサンプリングされているので聞いたことのある人も多いだろう。この曲はドラマ『OC』ほかに使用されこともあり彼女の認知度上昇に貢献し、グラミー賞新人部門にノミネートされるというおまけもついた。

そして3枚目にあたる本作ではギターがジャーンと鳴るような曲はほぼ姿を消し、聞こえるとしても役割はかなり変化しておもに隠し味的に使われて曲を引っ張るようなことはない。つまりはアンビエント方向へシフトしたわけだ。ところでこのアルバムのクレジットはイモージェン・ヒープ自身があらゆる楽器を演奏しているとある。クレジットを見るのを楽しみのひとつにしている人間にとっては各曲ごとの使用楽器が分からないのは少々残念ではある。クレジットといえば本作ではガイ・シグスワースの名前がなくなっている(ちなみに彼はアラニス・モリセットの最新作『Flavors of Entanglement/フレイヴァーズ・オブ・エンタングルメント』のプロデューサーを担当している)。これも彼女自身の再出発の証と言えそうだ。

以下は気になった曲をあげるが、詳しいクレジットないので細かい楽器は断言は出来ない部分も多いのでやや困る。イモージェン・ヒープのトレードマークである多重コーラスが聞いていて面白いのは「リトル・バード」「バッド・ボディ・ダブル」。個人的に気に入っているのはアフリカ的なあるいはラークス・タング期のキング・クリムゾンのようなギター・フレーズが素晴らしく、それにベースが重なり合い何ともいえない浮遊感を生み出している「キャンヴァス」とスチールパンらしき音も聞こえ、静けさと音の揺らぎが心地よい「リトル・バード」。一般受けがいいのはきれいに歌いストリングス・アレンジも決まった本編ラストの「ハーフ・ライフ」だろう。そのほかに懐かしのアラニス路線でもギターの役割はかなり違う「スーン」、カリンバのようなイントロが印象的な「アハ! 」などが印象に残っている。ニティン・サウニー参加曲もあり、全体の隠し味としてインド風味が効いているようだがそれを特定できるほどインド音楽を聞きこんでいないので詳しいことは言えない。

今回聞いているのはハード・カバーのブックレットつきの2枚組で、2枚目は全曲のインスト・バージョンとなっている。あくまでもインストであってカラオケではないのだが、多重コーラスの「リトル・バード」「バッド・ボディ・ダブル」はカラオケに出来なくもない。また元々インストの「ザ・ファイア」はピアノ抜きでSEの火が燃える音のみとなっている。初めは単に歌なしか、と思っていたが音を深く聞き込みのにはインスト・バージョンは役立つ。国内盤『楕円』は『HEROES/ヒーローズ』のサウンドトラックからのボーナス曲が追加されている。

テーマ:女性アーティスト - ジャンル:音楽

00 : 30 : 29 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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