米仏『パブリック・エネミーズ(パブリック・エネミー)』対決!!
2009 / 12 / 04 ( Fri )
ジョニー・デップの『パブリック・エネミーズ』の試写会に参加して来ました。そしてヴァンサン・カッセルの『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男』も見たのでココ・シャネルに続いて2本の映画を一緒に語ってしまおうという企画です。両方ともに実話ベースですが、モデルは米仏で違う人です。ちなみにデップのは複数形になっています。フランス版はパート1が114分、パート2が132分。アメリカ版は141分。

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男
Part 1 ノワール編 / L'instinct de mort
ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part.1 [DVD]
DVD:2010/04/21発売

Part 2 ルージュ編 / L'ennemi public n°1
ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part2[DVD]
DVD:010/04/23発売

2009/11/07公開 公式:http://www.vincent-cassel-movie.com/

『ノワール編』
いきなりジャック・メスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)とシルヴィア(リュディヴィーヌ・サニエ)が襲撃されるところから始まりますがあくまでもパート1です。分割画面を使用して観客の気を引きます。映画としてはメスリーヌがいかにギャングになったのか(あるいは堕落したのか)があまり描かれませんが、ふつうの映画なら不満になるこの点がこの映画は気になりません。突然怒り出すところがサイコパスのように見えるのが面白いです。

ジャック・メスリーヌは兵役でアルジェリアに行き、初めて人を殺します。ここの時間は短いもののこれがその後に大きな影響をもたらしたことは容易に想像がつきます。帰国後に父親の紹介でかたぎの仕事に就くものの、父親の二次大戦中に行いに疑問を感じているメスリーヌはやがて悪友に唆される形で闇世界へと入ります。とはいえそちらの世界は古株が顔を利かせている話などは退屈で、面白くなるのはスペインでのナンパあたりからです(帰国後に娼婦のヒモに対してキレるところなどはサイコパスっぽいと感じました)。ここでメスリーヌは妻ではなく別の女性、ジャンヌとコンビを組んで強盗をしますがこの場面の二人の姿は画になります。やがて逃げるような形で二人はカナダに移住します。ここで豪邸に住み込みとして働くものの他の使用人と小さなことで対立したことでクビになると、今度は主人を誘拐し身代金を要求します。ここがまたメスリーヌの短気で怒りやすい性格がよく出ています。

やがて逮捕されたメスリーヌは収監されるのですがその刑務所というのがグアンタナモかアブグレイブという虐待をする場所だったのです(というか監督はそれを意識しているのでしょう)。この刑務所からの脱獄シーン~銃撃戦はパート1の大きな見所になっています。

邦題にはノワール編とありますが、決め決めの映画ではないのでそんなにノワールっぽくないと思うのですがどうでしょう。個人的にはヴァンサン・カッセルというと少し情けない役を演じているほうが好きです。ここでは悪のエリートというよりはふつうの人間が道を誤ったという感じがして良いです。ギャングのボスを演じるジェラール・ドパルデューはさすがに貫禄があります。ジャックとジャンヌの画はかっこよかったです。刑務所にいる彼女が「自分のことは救出に来ないで」と懇願する場面があるので彼女が運命の人かと思ったら、それは勘違いでした。

『ルージュ編』
こちらは変装の数々や脱獄に増量したヴァンサン・カッセルの姿などコミカルなところが、それこそ『ルパン三世』のようで義賊的な側面が強くなっていて、娯楽色は強いです。こちらで相棒となるフランソワ・ベスを演じるのは『007』でもおなじみのマチュー・アマルリック、やはりいい顔をして引き付けられます。

ジャック・メスリーヌが社会の敵と呼ばれるようになったからには警察も黙っていません。ここではブルサール警視がライバルとして登場します。メスリーヌがアパートで追い詰められたときの粋な計らいを見て敵同士でも不思議な友情が芽生えるという展開になるのかと思いきや、最後のメスリーヌ殺害まで大きく飛びます。間にもう少しエピソードがあったほうが良かったと思います。

物語としては金のためにパリのアパート・オーナーを誘拐するあたりまではいいのですが、右翼ジャーナリストを半殺しにするあたりから歯車が狂ってきます。このときのリンチが自身の虐待体験やアルジェリアでしたこととどこかでつながっているのでしょう。ここから破滅へと進むことになります。しかもその殺し方はい今からは考えにくいきなり現れて逮捕もせずに蜂の巣にするというもの。パート2の最後は極左グループと関係を持とうとしたこともあるようですが、映画からはそれは成り行き上で本心から欲したものではないように感じました。


パブリック・エネミーズ / Public Enemies
2009/12/12公開 公式:http://www.public-enemy1.com/
パブリック・エネミーズ [DVD]
DVD:2010/05/26発売

マイケル・マン監督の新作は伝説のギャング、ジョン・デリンジャーを通してハードな男の世界を描こうとしたのでしょうが、どうも上滑りをしているようです。もともとマン監督は細かいところに拘りすぎて、全体の流れを見失う傾向にあった人なのですが、これだけ面白そうな題材を使いながらこの程度の平坦なものしかできないというのは残念です。映画と通して見せたい映像はあるのでしょうが、語りたいものはないとしか思えません。お得意の銃撃戦はたしかに良いです。もちろん銀行強盗の場面も同様なのですが、それらをつなぐ物語が大して盛り上がることもなく単調なままなのです。エドガー・フーバーが出てきて州をまたぐ犯罪に対する組織の重要性を説くのも申し訳程度です(仕分けで予算がつかない場面は笑えます)。デリンジャーの強盗というのが時代遅れになっていたりといった描写も申し訳程度です。デリンジャーのラストもある時代の終わりという風に描かれることもなく、単に終わるだけです。

もちろんジョニー・デップ演じるジョン・デリンジャーはかっこよく、銀行強盗シーンも見せます。クリスチャン・ベイルは少し地味です。この二人をコインの裏表と捉えるような意図もないようです。ライバル同士の微妙な関係なら(二人の距離がもっと近いとはいえ)『3時10分、決断のとき』のベイルとラッセル・クロウの関係のほうがはるかに良かったです。さらに問題なのがマリオン・コティヤール演じるデリンジャーの恋人ビリーです。存在感が薄く、これまたいるだけでした。コティヤールは宿命の女といいうより薄幸女が似合います。本当なら映画のラストで彼女への伝言は泣けるようなものでないといけないのですが、積み上げていたものがないので感動しません。メーンの三人以外にデヴィッド・ウェンハム、チャニング・テイタム、リーリー・ソビエスキー、といったそれなりに名前が知られた俳優や格闘家ドン・フライまでいるのですがほとんど無視されて空気のような存在です。そんな中でいつものように脇役のジョヴァンニ・リビシがなにもしていないのに光っていました。これはメーンの俳優にフォーカスすたというよりは手抜きといったほうがいいでしょう。残念なことに雰囲気だけは立派な失敗作になっています。あとデリンジャーの知り合いにスパイを頼むのですが、この人が警察にいる人と似ているのはどうにかしてほしかったです。

ということでジャック・メスリーヌのほうがおすすめですが、上映は終了のようです。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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by: * 2009/12/19 12:15 * [ 編集 ] | page top
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