『ラブリーボーン』試写会。 『かいじゅうたちのいるところ』よりも少年少女に見てほしい
2010 / 01 / 21 ( Thu )
ラブリーボーン / The Lovely Bones
2010/01/29公開 公式:http://www.lovelyb.jp/
ラブリーボーン [DVD]
DVD:2010/07/02発売

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのというよりは『乙女の祈り』(いや原題のHeavenly Creatures)のといったほうがふさわしいピーター・ジャクソンの新作です。14歳で殺されてしまった少女がこの世とあの世の間に留まりながらこの世を見つめるというテレビドラマ『ゴースト 天国からのささやき』をゴーストの立場から描いたような内容です。

そのショッキングな出来事を一番初めに持ってくるかと思うときちんと時系列そのままで、オープニングは赤ん坊のスージーがスノードーム内のペンギンがどこにも行けないのを見てかわいそうと思います。この場面はスージーが中途半端な所に行くことを暗示させます。その後は家族との平穏な日々と学校での初恋など、悲劇の臭いはあまり感じさせずに犯人は突然にやってくるという感じです。その悲劇の演出はさすがに緊張感があるのですが、その瞬間を描かないことに不満がある人もいるようです。僕自身も上映中はこの場面はあってもいいと思いながら見ていたのですが、終わってみるとここに監督の意思を感じました。これはなにもレーティング対策などではなく、映画はあくまでも(ややナレーションに頼りすぎとはいえ)14歳のスージーの視点のみから語らせようとしているのです。その意味では『(500)日のサマー』のトム視点と似ています。しかしこのやり方をするなら時間軸をいじる等、構成に工夫をして引っ掛かりを作ったほうが良かったと思います。またスージーの目には殺された瞬間やその前の出来事はもちろんのこと、両親のゴタゴタも映らない状態になっているようで、大人を演じる俳優のインパクトは薄くなっています。

予告を見たときはマーク・ウォールバーグにキレてその後に反省(成長)という父親役を期待していたのですが、それも抑え目でした。レイチェル・ワイズはいい所なし、おばあちゃんにしてはエキセントリックなスーザン・サランドンはまあまあなのですが、この部門では犯人さんに尽きます。ルーク・ウィルソンが演じているにしては老けているなあと思っていたのですがスタンリー・トゥッチでした。この役はルークのような俳優が演じたほうが面白いと思いませんか?それでも彼の行動は淡々としていて「オレはバレないように、いつでもこうして死体を処理しているのだ」というような一人語りがないのは正解でしょう。彼が殺人現場の設計図を考える場面はまさに姑息なクリエイターという感じがして良いです。

これに対して子役たちは良かったです。妹リンジー(ローズ・マクアイヴァー)には終盤に見せ場がきちんとありますし、スージーが思いを寄せていたレイ(リース・リッチー)と霊感の強いルース(キャロリン・ダンド)も出番は多くないもののスージーに見守られている感じがよく出ていたと思います。

一番の問題はスージーのいる世界でしょう。きれいなのですが『乙女の祈り』のドロドロとした部分がないので、奥行きが出ずに物足りません。期待もしていただけにここは残念でした。それから最初は実写で映し、次の非現実的な動きのために途中からCGにしているところ何回かあると思うのですが、今回これが気になりました。それが周りとの違和感なのか溶け込んでいるためにスムーズすぎるのかのどちらかは分かりません。

最後になりましたがなんだかんだいってもこれはスージーのための映画です。スージーを演じるのは『つぐない』でアカデミー賞にノミネートもされたシアーシャ・ローナンです。あの映画のころよりは成長しかわいく撮れていますが、今後顔が長くならないかと少し心配になりました。とはいえ前述の理由でぜひ少年少女に見てほしい一本です。いまどきの少女はこんなに単純じゃないよという意見もあるでしょうが、ただ僕はこれをテラビシアのように残された人間が過去をきとんと整理して前に進むというよりは、より積極的に未来に進んでほしいと当の被害者が思う話だと思うからこそ見てほしいのです。劇中ラスト近くの少年少女の輝いている表情はスージー以外の見所になっています。

音楽はブライアン・イーノほか、ときに音が過剰に感じることもありましたが全体的には好印象。これに舞台となった70年代のヒット曲など。
ララバイズ・トゥ・ヴァイオレイン:1993-1996 VOL.2 [Best of] ~ コクトー・ツインズ
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テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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