『インビクタス/負けざる者たち』試写会。 『ラブリーボーン』と同様監督の資質に合っていない部分もあるがまとめ方がうまい
2010 / 01 / 30 ( Sat )
インビクタス/負けざる者たち / Invictus
2010/02/05公開 公式:http://wwws.warnerbros.co.jp/invictus/
インビクタス / 負けざる者たち ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]
DVD:2010/07/14発売

クリント・イーストウッド監督最新作は政治映画かスポーツ映画かと問われたら政治映画と答えます。それも実に巧妙な政治映画です。もちろんスポーツ映画の側面もあってその種の映画陥りやすい罠にはまっているところも感じます。映画はネルソン・マンデラと彼が国の行く末を託した南アフリカラグビー代表チームのキャプテン・フランソワ・ピナールを中心に描かれます。これはある意味では少数派の立場が逆転する話です。

オープニングが捉えるのはマンデラが釈放される日、サッカーしている黒人とラグビーをしている白人。とうぜんマンデラに対する反応も真逆です。全人種が参加した普通選挙が行われれば支配者層から引き釣り下ろされるかもしれない白人たち、「国を出るしかない」という発言も冗談ではなかったのでしょう。南アフリカの場合には人種差別政策があったので黒人は人口が多くても少数派だったわけで、この辺はアメリカのオバマ大統領とは立場が違うことになります。

実際にマンデラは白人からの刺客を警戒して、警備にかなり気を使います。もちろん今から見れば彼が暗殺されないことは知っています。こうした場面にサスペンス調の音楽が流れると映画の流れから浮いてしまうのが残念でした。そしてマンデラは白人社会との融合を考え、側近の反対を押し切って前政権の警護官(もちろん白人)も採用します。旧政権の関係者を取り込むことは彼らの考え方を知ることにもなるのです。

そして次にマンデラが目をつけたのが白人に人気のあるラグビーです。スポーツの政治利用ですが、大統領は直接的には言いません。予告にあった「(望んでいるのは)ワールド・カップの優勝だと思う」とマット・デイモンが言うようにマンデラは無言で圧力を掛けるのです。ここはモーガン・フリーマンも存在感もあって名場面となっています。逆に直接的なところもあります。代表チームの愛称スプリングボクス(ユニフォームだったかも)の変更が決議されても、大統領の権限でやめさせます。ここは少数派の立場を知っている人が、少数派のプライドを保つにはどうしたらいいかを実践した場面として印象的です。代表チームで象徴的なのは唯一の黒人レギュラーです。彼を利用して黒人少年たちにラグビーを広めようとするところなどは巧妙と言っていいでしょう。

代表チームがマンデラのいた刑務所を訪問して、彼がここでやっていたことややらされていたことを疑似体験するのは映画的な表現ですがやりすぎなような気がしました。これはスポーツ映画ではないので、代表チームが勝ち進む理由は地元の利と高揚感以外はあまり描かれません。ニュージーランド代表を恐れる場面は皮肉にも笑えるようになっていますが、そこに日本の大敗も入っているのでこちらは笑えません。さすがにそのオールブラックスとの決勝戦になるとふつうのスポーツ映画のようにアップ等が多くなってしまって、イーストウッドが得意とする世界とはやや違うような気もしました。キックによる得点が多い試合展開なのも影響しているようです。

マンデラが大統領を辞めた後の現在の南アフリカでは今年ワールド・カップが開催され、日本でも注目を集めるでしょうが映画『ツォツィ』で描かれたように治安が良くないようです。それでも過去に戻れないことは分かります。音楽はクリント・イーストウッドらしいどこか引き摺るようなピアノがあまり聞こえないと思ったら息子カイルが担当していました。でもそれよりは南アフリカのコーラスなどが中心です。

俳優ではモーガン・フリーマンが見事にネルソン・マンデラです。元々似ているのですがきちんと役作りもしているようで、最初のニュース映像からマンデラです。さすがに米国大統領や神を演じただけのことはあります。代表キャプテン・フランソワ・ピナールを演じるのはマット・デイモン。本物は知らないので彼の演技だけを見ていました。ボーン・シリーズの引き締まったスパイの身体とはまた違うスポーツマンらしさがあります。途中上半身裸になるときの肌の白さがなぜか印象に残っています。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

00 : 00 : 45 | 試写会 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
<<Emmy Rossumが参加した新たなキャンペーン:This Is Our Moment | ホーム | エミー・ファン!ブログ2010年01月の告知>>
コメント
--相互リンクのご依頼--

サイトを立ち上げたばかりの者で、相互リンクをしていただきたく、コメントさせていただいております。ご迷惑でしたら、申し訳ございません。
http://art.link-z.net/rand/link/register
もし、こちらから登録していただけるようでしたら幸いです。よろしくお願い致します。
rtO
by: rand * 2010/01/30 04:14 * URL [ 編集 ] | page top
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://emfanjp.blog18.fc2.com/tb.php/686-77096109
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |