『ゴーン・ベイビー・ゴーン』から考えるマーティン・スコセッシとベン・アフレック新作
2010 / 02 / 08 ( Mon )
ゴーン・ベイビー・ゴーン [DVD]
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木を見て森を見ずという言葉がある。『ディパーテッド』に対する日本のエーガヒョーロンカの意見を見るとこれを思い出す。『インファナル・アフェア』と『ディパーテッド』を比べるだけでは見えてこないものは多い。エーガヒョーロンカが大好きなクリント・イーストウッド監督作品『ミスティック・リバー』と原作者(デニス・レヘイン)が同じこのベン・アフレック初監督作品『ゴーン・ベイビー・ゴーン』を横に置いてみよう。そうすると映画の舞台をボストンにした脚色のうまさや地元出身のマット・デイモンとマーク・ウォールバーグ起用の必然性も分かるはず。後味の悪さはデニス・レヘイン作品に通じ、また十字架のモチーフを至る所に配置したスコセッシらしさも加えられている。

さてベン・アフレックが初監督作品として選んだデニス・レヘイン『愛しき者はすべて去りゆく』の映画化。主演は弟のケイシー・アフレックだが、重要な役割を果たす老刑事にモーガン・フリーマンとクリント・イーストウッドを意識しているに決まっている。もちろん舞台はボストン、少女の誘拐事件が起こるがその母親というのが救いようがないタイプの人間で、演じたエイミー・ライアンはアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。はまり役といっていいと思うが後半の出番が少ないのが難。

主役のケイシー・アフレックはぬぼーとした兄とは違う意味で頼りなく、話し方ももごもごしているのでハードボイルド調には似合わないのだが、「俺は厳しいこの街で生き抜いてきたのだぜ」というところを見せ付けてくれる場面がある。ミシェル・モナハンは演技が大味でこちらも似合っていないのだが、二人とも薄味なので愛称は悪くないように思う。

映画全体としては長い原作をうまくまとめている。ベン・アフレックの演出がいくつかある大きな出来事をわりと盛り上げることなく通り過ぎるのは惜しいと思うのだが、そのあっさり風味のおかげで見ていて疲れないという利点はある。

そしてベン・アフレックの新作はギレルモ・デル・トロ『ザ・ストレイン』共著者チャック・ホーガン原作の『The Town』。ボストンが舞台の強盗家業連中の話だだから、前作からの流れを受け継いでいる。一方マーティン・スコセッシ新作はデニス・レヘイン原作の『シャッター アイランド』、ただし原作を読む限りこれまで映画化された小説とはかなり違うトリッキーな作品だ。公開が延期になっただけに出来が心配になるが、原作とは違う展開を用意していると思いたい。ついでにクリント・イーストウッドが『インビクタス』に続いてマット・デイモンと組む『Hereafter』は超常現象ものだとか…トンデモ・ワールドへようこそ!でも脚本は『クィーン』のピーター・モーガンと今一番期待している脚本家だ。


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