『バラッド集大成』イワン・マッコール。人殺しと不義、愛と不和のバラッド
2010 / 07 / 13 ( Tue )
バラッド集大成~ イワン・マッコール
『バラッド集大成』イワン・マッコール
Ballads - Murder Intrigue Love Discord: Ewan MacColl
(日本発売元) https://www.sambinha.com/e-commex/cgi-bin/ex_disp_item_detail.cgi?id=TPR-23006

ポピュラー音楽史におけるイワン・マッコールといえばロバータ・フラッグ「The First Time Ever I Saw Your Face(愛は面影の中に)」の作者。ポーグス・ファンには「ダーティ・オールド・タウン」との作者であり、カーティスティー・マッコールの父親でおなじみのはずだ。ペギー・シガーと結婚していたのでピートとマイク・シガーとも親戚ということになる。そして英フォーク界ではA・L・ロイドと並ぶ大物であり手を耳にあてて歌う姿は(ときにはネガティブな意味で)フォークのアイコンでもある。

だがイワン・マッコールが日本で積極的に聞かれてきたとは思えない。といつつ自分自身はどうかというと後述するA・L・ロイドとの『英国のバラッド/English and Scottish Folk Ballads』といくつかのオムニバスで聞いてはいたが、それ以上はなかなか行けなかった。そんな中TOPICから発売されたのがこの2枚組『バラッド集大成』、解説はFred MaCormick、日本盤解説は配給しているレーベル主催者田中勝則氏、ご本人がバラッドの専門家ではないと断りを入れているように詳しい楽曲はなく(そちらは英語解説を読めというのは乱暴ではあるが、この場合はいいだろう)、状況説明が主だが、足がかりとしては悪くない。

英語解説は歌詞つきで歌詞のヴァリアントに関してはかなり詳しく書いてあるし、イワン・マッコールが誰のヴァージョンを参考にしたかのソースについても同様だ。しかしクレジットを見るときにいつ、どこで録音されたかをチェックするような人間にとってはやや不満が残る。

内容は無伴奏スタイルというもっともハードコアな表現方法といえる。それだけに軽い気持ちで聞けるようなものではないので初心者は『英国のバラッド』から入門して深みにはまってほしい。ソースについて読んでいて両親とともに多いのがJeannie Robertson、数年前に出たCDを持っていないので聞きたくなった。

また『The English and Scottish Popular Ballads』シリーズは米folkwaysでCD化されていて解説はHPからダウンロードできる。http://www.folkways.si.edu/albumdetails.aspx?itemid=330

『英国のバラッド』とは1964年にでたE・マッコールとA・L・ロイドによるLP。それぞれの歌手が5曲歌い、ほぼアカペラだが、曲によってはコンサーティーナの伴奏つき。1996年にCD化されたときに8曲追加された。女性の曲や伴奏がつく曲もあることで変化がつき、聞きやすくなっている。内容はもちろん素晴らしい。初めて聞いたときの「ヘンリー・マーティン」の語り口、「ロード・ランタル」の説得力などが忘れられない。その一方『バラッドの世界』(平野敬一)でほめられていた「ベガー・マン」などは次第にその良さが分かってきた。
English and Scottish Folk Ballads
English and Scottish Folk Ballads

相手としてはかなり大きくて厄介なのだが、曲をいくつかのタイプに分類してみる。メロディほとんど変化しないあるいは朗々と歌うタイプの曲、その中では歌の力強さが際立つ(1-1.残酷な母親、11.グレゴリー様、15.エアリの美しい家、2-1.愉快な少年、8.レアード・オー・ドラム)。その一方でもう少しリズミックでバンド編成で聞きたいような曲もある(1-3.ラング・ジョニ・モア、1-4.ジョック・ザ・レッグ、1-10.ずるい農民、14.ハーロウの戦い 、2-3.ザ・クーパ・オー・ファイフ、2-9.ザ・ブルームフィールド・ヒル、2-14.ザ・キーク・イン・ザ・クリール)。こうした曲の中にはオノマトペが印象に残る曲もあり、木村カエラ「Ring a Ding Dong」のルーツはここにある(半分はウソ)。またバラッドの物語性を強く感じる曲もある(1-5.フュ・ザ・ゲライ、1-6.ダグラス家の悲劇、7.ザ・ダウイ・デンズ・オー・ヤーロウ 、1-12.ギル・モーリス、2-6.物乞いの少年、2-7.我々の主、2-11.ハインド・ホーン)。

個人的なお気に入りをあげておく、有名曲1-1.残酷な母親、長いが歌に説得力がある12.ギル・モーリス、アップテンポの2-5.陽気な物乞い、我々の主、歌が力強い2-10.立ち上がって、ドアを閉め、文字通り大作の2-11.ハインド・ホーンなど。あとから調べたら他の歌手で聞いたことがある曲があったが気付かなかった。勉強不足もさることながら、アカペラと伴奏つきは感じが違うと言い訳をしておこう。
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