『SPACE BATTLESHIP ヤマト』試写会。 『エクリプス/トワイライト』より題材に対して割り切れていない
2010 / 11 / 28 ( Sun )
SPACE BATTLESHIP ヤマト
2010/12/01公開 公式HP:http://yamato-movie.net/
SPACE BATTLESHIP ヤマト プレミアム・エディション 【Blu-ray】
Blu-ray: 2011/06/24発売

なぜ今ヤマトなのかという疑問を問いかけながら見始めました。『宇宙戦艦ヤマト』はブームになったとは言え、所詮は日本人だけで地球を救うと言うそれまでのアニメーションやヒーローものと変わりない話なわけです。ここでもそうした説明は一切なく、どうせなら日本以外は全部沈没したとか、アメリカ合衆国は消滅しましたと言った方が面白いと思います。映画は主人公古代進(木村拓哉)の兄古代守(堤真一)が死ぬところから始まります。一方古代進は地球でやさぐれていて、軍人とは無関係のようです。そう思ってしまうのは沖田艦長(山崎努)への口の利き方を見たからですが、実際には元軍人です。本作を語る上ではこの現代的なアプローチは重要です。森雪(黒木メイサ)は戦闘機パイロットですし、軍医も女性です。

本格的SF映画と言う売り文句になっている本作ですが、盛り上がりに欠けるのはヤマト発進時(一応敵の目を盗んで地下に隠れて造船しているという設定)や、波動砲発射時の平坦な演出のせいです。少しもワクワクしません。ワープもあっさりと行われます。映画を見ている方にはおなじみになったものとは言え劇中の人たちにとっては人類初なのですから、それこそ大画面を使用して説明させてことの重要性を伝える方が良いと思います。変な理屈こそがSF映画のお楽しみです。

ガミラス星人に関しては「悪い方から中村獅童が顔を塗る、地味目の俳優が元の顔が分からなくなるほどのメイク、完全CG、ゴラム方式で」とつぶやいたことがあるのですが、CGでした。体を塗ってしまうとリアリティが無くなります。2009年版『スター・トレック』でレイチェル・ニコルズが体を緑に塗っていましたが、あれはチョイ役だから許されるのです。そして今回の方式で問題なのは敵が文字通り顔の見えないモンスターになってしまうことです。人格も存在しないことになりいくら殺しても良心が咎めることはなくやや危険なアプローチです。ガミラス星人の外見は二足歩行する爬虫類風で、顔は目を強調とオリジナリティには欠けます。結局デスラーは出ません。それによっておいしいキャラクターが一人減っただけではなく、ガミラスに関しては深く掘り下げることもできなくなりました。ここはもう少しがんばってゴラム方式まで行ってほしかったと思います。ただしガミラスが人間に憑依して意思疎通をしようとするところは良かったです。森雪のときは服がちぎれさせて松本零士オマージュをやるべきでしょう。もちろんそこはCG表現でかまいません、その後に古代が上着を掛けてやるのです。

『スター・トレック』を持ち出しましたが、ガミラス星に降りようとするところは、あの映画を思い出しました。それから両手でマシンガンを持ってぶっ放すのは最近どこかの映画で見ました。VFXに関しては多少安っぽさを感じなくはないですが、個人的には単純なクオリティよりは全体としての統一感があれば良いと思っているので。これでも良いと思います。

エンディング曲がスティーヴン・タイラーと言うこともあって最後は『アルマゲドン』ならぬ『キムタクドン』です。あちらの映画と比べると古代一人が目立ち、彼が運命を託す人との関係が弱く感じます。これは木村拓哉以外を目立たせないためでしょう。この『ヤマト』の実写化と言う企画が成り立った経緯は知りませんが、『ヤマト』はキムタク主演するくらいに大きな企画なのです。ところが現代的なキムタクらしさが前面に出れば出るほど、『ヤマト』らしさは薄れ、これが『ヤマト』実写化である必然性も無くなるという問題が起こります。これはミスキャストと言うことではありません。本来なら『ヤマト』の世界観にキムタクをはめ込み、その上で彼の個性を出させるべきなのです。せっかくチーム古代と言うものがあるのですから、彼らを愚連隊風に設定して沖田艦長と対立させ、一度は窘められた方が良かったと思います。劇中で古代は成長したように描かれていますが、本来の意味での葛藤がないので単に軍人としての仕事をこなした風にしか見えません。それから古代の中で民間人から軍人にスイッチが切り替わる瞬間がないのも不満です。ヤマトの乗り込み手続時に既に軍人モードに入っていて白けました。ヤマト出航の話を聞いて迷うが、しまってある戦闘服を見て決意を固める等の描写がないと不自然です。

他の俳優についてですが、森雪役の伊黒木メイサは事前の予想より良かったです。柳葉敏郎の真田志郎はちょっと合っていないように感じるのですが見せ場があるのでよしとしましょう(ただし個人的にはその場面は好きではありません)。島大介役の緒形直人は悪くないのですがキャラクターとしてのインパクトが薄いのが残念でした。ベテラン山崎努の沖田艦長はこのくらいはやって当然でしょう、徳川機関長を演じた西田敏行が艦長役をやっても面白かったかもとも思いました。アナライザーは実に残念な登場の仕方をしますが、サプライズがあります。これはいいアイディアです。

なにやら厳しいことを書いてきましたが、先入観なしで見ればそれなりに楽しめそうです。個人的にはさほど評価していない監督と脚本家でしたが、苦痛を感じずに見ることができました。蛇足ながらネットで調べた小説版の結末は悲しくそれでいてSF的だと思いました。と言うことでなぜ今ヤマトなのかという疑問は解消しませんでした。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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