『キック・アス』試写会。 『ヤマト』よりキャラクターの絞込みがうまい
2010 / 12 / 11 ( Sat )
キック・アス / Kick-Ass
2010/12/18公開 公式HP:http://www.kick-ass.jp/
キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)
BD:2011/03/18発売

ヘタレ高校生がコスチュームを着込んで自警活動を始めたもののうまくいかず、そこに本当にスキルのやる父娘が登場して大混乱が起きる話題の映画です。どこが話題かと言うと、13歳のクロエ・モレッツがハードなアクションで次々に殺しまくる箇所です。倫理的に不謹慎だと言う人もいるでしょうし、個人的にも引っ掛かる部分です。

しかしよく考えると衣装だけのキック・アスと言う何の力も持たない高校生デイヴ(アーロン・ジョンソン)とは対極の存在としてヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)はこの設定でないといけないのです。性は反対、彼よりも明らかに年下でいながらスーパー・ヒーロー並のスキルを取得しています。それはいくつかの映画で見た少年兵にも似ています。彼らは生き残るために同年代の少年を殺し、やがて人間兵器に育て上げられます。ヒット・ガールは復讐に燃えるビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)に洗脳されています。この映画はある意味ではヒット・ガールの映画です。彼女を中心に語るならビッグ・ダディから彼女を開放してやるべきだと思うのですが、この映画では最後まで人間凶器のままです。彼女の後日談はユーモアと取れませんでした。

主人公デイヴは得意技が「女子の視界から消えること」と言ってしまうような学校でも地味な存在です。ロッカーで気になっている女子に笑いかけたと思ったら、後ろの女子だったと言うサム・ライミが『スパイダーマン』でやっていた手法も取り入れられています。そんな彼がコスチュームを着こんでやられながらも奮闘する姿がネットにアップされて盛り上がります。その様は「セレブって言うけど、あなたの本職は何?」と言うタイプの人をからかっているようです。街にはキック・アスの真似をする人が増えるのですが、中でも最高なのがギャングのバカ息子(クリストファー・ミンツ=プラッセ)が扮するレッド・ミストです。その外見がカッコいいかはともかく「力はなくても金はあるぜ」とばかりに高機能の車を用意するところが最高です。

そのギャングが自分たちの子分はキック・アスのせいでやられていると勘違いしますが、実際にやったのはビッグ・ダディとヒット・ガールでした。ここから物語は転がってゆきます。『スパイダーマン』でおなじみの「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というフレーズが出てきます。『スパイダーマン』は力を持ったものはその力を弄ぶことなく正しく使わなくてはならないと説きます。この映画では力など無くても何かをやらなくてはならないのではないかと問いかけます。街中の暴力を無視できるのか?通報くらいはしましょう。

キック・アスを演じるのはアーロン・ジョンソン、『ノーウェアボーイ』を見たときにも思ったのですが、見ている方も見慣れていないのに加えて、彼の方もまだ表情が安定しないと言うかカッコいいのか悪いのか分かりません。しかしそこがこの映画によく合っています。ただ英語教師に対しての感情の話などは『ノーウェアボーイ』のときに仕入れた情報を知っているので笑えませんでした。

映画の影の主役を演じるのは『(500)日のサマー』で生意気な少女を演じたクロエ・グレース・モレッツ、ほとんどのアクションを自分でこなしたと言うのですから大したものです。アンジェリーナ・ジョリーやミラ・ジョボビッチのように真面目にアクションをやる女優は少ないのでこの心意気はお見事。力を入れると口がとんがるのがカワイイではないですか。ビッグ・ダディを演じるのはニコラス・ケイジ、コミック・ファンと知られている彼ですがここではもう見事な変態演技を披露します。また演技が格別にうまいわけではないですがマーク・ストロングやジェイソン・フレミングの顔を見かけると英国映画だなあと感じます。

デイヴ君の恋愛話などは原作コミックと違うようで、甘いと言う声もあるようです(原作と言ってもコミックが完結する前に映画化が進んだようです)。マシュー・ヴォーンは映画監督として大ヒット作はないものの奥さんはスーパー・モデルですし、そんな彼にしてみればオタク少年の気持ちをよく描いたのではないでしょうか。既発の曲に物語を語らせる(あるいは曲に合わせて画像を編集する)と言うのはもうおなじみになった手法がここでも使われています。それについての賛否はともかく、調子に乗ったキック・アスのナールズ・バークレイ「クレイジー」、ヒット・ガール大暴れのジョーン・ジェット「バッド・レピュテーション」の場面はピッタリ合っています(ここは字幕つきのはず)。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

01 : 00 : 54 | 試写会 | トラックバック(5) | コメント(0) | page top
<<Emmy Rossum出演ドラマ『Shameless』HPリニューアルほか | ホーム | 『ポセイドン・アドベンチャー』のハリソン船長役レスリー・ニールセンが死去>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://emfanjp.blog18.fc2.com/tb.php/758-9d02292d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
『キック・アス』
(原題:Kick-Ass) ----この映画、ニャんだかスゴク話題になっているみたいだよね。 「うん。 最初は 第3回したまちコメディ映画祭in台東の『映画秘宝まつり』内で限...
[2010/12/12 00:42] ラムの大通り
映画:キック・アス
 こんな名前ですからB級映画だと思いスルーしようとしていたんですが、平主任さんに、よしなさん向けだよ。と言われ、観に行くことに。ところが劇場に着くともう前3列しか残っていないと言われ、しぶしぶ翌日のチケットを購入。なんとか2010年内に鑑賞できました。しか
[2011/01/08 21:25] よしなしごと
『キック・アス』 あなたが戦わない理由は?
 Wikipediaに "Japan is the only country that nears the US in output of superheroes." と解説されているように、おそらく世界でもスーパーヒーローを輩出している大国は日米2ヶ国である。  しかしなが...
[2011/01/12 23:50] 映画のブログ
『キック・アス』 映画レビュー
『 キック・アス 』 (2010) &#160;監  督 :マシュー・ヴォーンキャスト :アーロン・ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ、マーク・ストロン...
[2011/02/14 01:41] さも観たかのような映画レビュー
キック・アス (Kick-Ass)
監督 マシュー・ヴォーン 主演 アーロン・ジョンソン 2010年 イギリス/アメリカ映画 117分 アクション 採点★★★ とどのつまり殺人者であるヒーローを、どんな世界に置くかってのも作り手の悩みどころなんでしょうねぇ。たとえば、幸楽の出前に出ていた眞がゲル…
[2011/03/05 15:54] Subterranean サブタレイニアン
| ホーム |