Emmy Rossum出演映画『Dare』レビュー
2011 / 03 / 16 ( Wed )
『Dare』(2009) 2011年3月時点日本未公開
Director:Adam Salky Writer:David Brind
dare
同じ監督と脚本家が撮った同名短編の長編化。事前情報や脚本家の好きな映画から「ブロークバックなジョン・ヒューズ風ドラマ、三角関係は理由なき反抗」と予想していた。大きくは外れていないが、どちらかというと登場人物が裕福な家庭に見える点がジョン・ヒューズ的ではない。メーンの3人の中ではジョニー(ザック・ギルフォード)の家は金持ち(プールつきではないと困る場面がある)、アレクサ(エミー・ロッサム)とベン(アシュレー・スプリンガー)は裕福ではなさそうだが、貧乏でもないようだ。4人目のキャラクター、コートニーの家は金持ち。ただしジョニーが元スポーツ選手でいやいやながら演劇部にいるのは良い。

一応3パートに分かれていて、最後に後日談のようなものがつく。それぞれのパートではその人物だけの視点になっているわけではなく、重点が置かれている程度。またこの映画ではなにかが始まる(映画のタイトルに沿って言えば乗り越えなければいけない)ときにシャンパンを開けるときのパンという音が使われる。

アレクサ
両手でケータイをいじるアニメは予告編でも使われたがこれはとても良い。ただしこのときのBGMが『ゴシップガール』でブレアがストリップもどきをするときのSoho Dolls「Stripper」なのだ。あれはブレアの中で何かがはじけたときの曲だから、もちろんここでもそれを意識して使われている。個人的にはやや興ざめする。

アレクサは演劇部所属、照明を担当する幼馴染のベンは負け組。彼女自身も殻を破れずに苦しみ、体調も不安定。オープニングでは病院にいる。なんとか現状打破のための突破口がほしいし、劇のパートナーであるジョニーのことも気になっている。

演劇部OBであるグラント・マットソンが地元の舞台に出演しているのでベンと一緒に楽屋口まで行くのだが、声をかける勇気もない。そんな彼女だからマットソンの直接指導ではコテンパンにやられる。なにしろ上演する演目が『欲望という名の電車』なので、今のアレクサにはできなくて当然だ。マットソンを演じるのは曲者俳優アラン・カミング。この映画に出てくる大人たちは舞台やコメディで有名な俳優たちが演じている。ベンの母親を演じるアナ・ガステヤー以外はカメオ的に一箇所にしか登場しない。トニー賞女優ケイディ・ハフマンはオープニングの女医、サンドラ・バーンハードは精神科医として登場する。

マットソンのいうことを自分なりに考えたアレクサはパーティーでジョニーにせまり関係を持つ。ことのとき彼女に遊びを教えるような立場がコートニーだが、彼女の金持ちの娘らしい佇まいがすばらしい。演じているルーニーマーラはピッツバーグ・スティーラーズの創立者の家系なので、遊び人の不良娘くらいは軽くこなす。ゴスメイクになる撮影中の新作『ドラゴン・タトゥーの女 』はもちろんのこと『エルム街の悪夢』や『ソーシャル・ネットワーク』よりもかわいい。

他に気になる人物はジョシュ、演じるクリス・リッジは『ゴシップガール』で出演回数は少ないものの重要な意味がある役で登場している。彼は尻軽女と陰口を叩かれるギャビーと付き合っているが、それは愛情からではなく学園内の地位を確保するためなのである。そうしないといけない学園内での厳しい世界を物語っている。

アレクサの衣装が次々と変化するのも見所だ。個人的には首の付いたものを隠すために着ているタートルネックのときが髪型と合わせてエミー・ロッサム本人には一番良く似合っていると思。そして服と同時に髪型による変化で内面の変化を表している。初めは髪を後ろでまとめておでこを出す姿はいかにもガードが固そうな感じがするが、ジョニーと寝てからは髪を下ろしメッシュを入れるようになる。

ベン
ジョニーとアレクサは『欲望という名の電車』の上映のラストのブランチをスタンレーが襲うシーンでも本物の恋人のような演技を見せ、ベンはこの二人の変化を確認する。それは同時に彼が自分の内面に気付く。ベンはジョニーと二人きりになる機会を持つ。ジョニー宅のプールで二人は酒を飲む。そんな中でベンは、自分はキスをしたことがないと告白するとジョニーは受け入れてくれた。この後にベンも変わる。

喫茶店でベンにアドバイスをするのは脚本家のデヴィッド・ブラインド、彼がベンの中に自分を投影しているのは間違いない。ついでにオリジナル短編のベン役アダム・フレミングは教師役で登場。

ジョニー
ベンの家で3人は戯れる。この場面は『理由なき反抗』へのオマージュである。3人の関係もそのまま、ただし三角形の頂点はあくまでもがジム(ジェームズ・ディーン)でありジョニー。ジョニー自身には父親があまり家にいないで、後妻との関係もうまく築けていない。正直このパターンが多すぎな気がするのが残念。

エピローグ
やがて3人の関係は終わりを告げジョニーは街を出てゆく。そしてアレクサは外見も以前と同じようになるのだが、彼らには小さな変化が起きていた。

もとになった短編では完全にベンのジョニーに対する片思いが主題になっていてアレクサは文字通りいるだけの存在なのだが、長編では3人に同じくらいの語られる。それによってベンのジョニーに対する思いという比重は小さくなっていて主題が少しぼけているように思えた。これの比重ならベンはもっと個性が強くないと成立しないと思う。むしろクリス・リッジがベンを演じるか、ずっとアレクサ寄りの視点でも良かったと思う。この映画の中ではジョニーは終始何を考えているか分かりにくい存在で、ある意味では行動も予測不能なので彼を中心にはできない。アレクサで始まりベンが中を繋ぎ、またアレクサに戻るといった構成は作品の印象を曖昧にしていると思う。思い切って男女を入れ替えても良かったかもしれない。

特典:監督と脚本家のコメンタリー。短編版『Dare』。削除シーン(コメンタリーあり)。エミー・ロッサム・オーディション。予告編。
オーディションの一人芝居は必見。
00 : 30 : 39 | Dare | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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