『Last』The Unthanks。アイディア豊かなアレンジと面白いカバーを聞かせるフォーク・グループ
2011 / 06 / 05 ( Sun )
The Unthanks Last
『Last』The Unthanks

英国フォーク・グループ新作、シャーリー・コリンズを彷彿させる声ともう少しかわいらしい声を聞かせるアンサンク姉妹(個人的には前者の方が好き)を看板に、ヴァイオリンとピアノ兼ドラムとベース兼ギターの5人編成となっている。ボーカルはフォーク伝統スタイルでもバックの音はまるで違う。ストリングスやピアノが多用され、トランペットの音も入る。しかもその音はジャズやクラシックからの影響が強いというよりはそれらの楽器が持つ音色を再現しているように感じられる。だから一見水と油のようなバックの音とボーカルの組み合わせでも音が遊離するということはない。メジャーからアルバムを出してバックにお金をかけられるという意味ではゴールドフラップの『セヴンス・ツリー』を思い出す。

中には「10.Close The Coalhouse Door」のようにミニマル・ミュージックからの影響を感じさせるアレンジもある。また「8.Canny Hobbie Elliott」はペンギン・カフェ・オーケストラのようでもある(彼らの「ミュージック・フォー・ア・ファウンド・ハーモニウム」はアイルランドのフォーク界でよく演奏される)。この曲自体はアルバムの中でもかなりのお気に入りだ。またピアノから始まる曲だが構造上フォークらしいのは「7.My Laddie Sits Ower Late Up」。カリンバによるイントロが時計の音のように聞こえる部分がかわいらしい「3.Queen of Hearts」も気に入っている。

カバーで注目を集めそうな曲が2曲ある。まずはトム・ウェイツの「6.No One Knows I'm Gone」(『アリス』)、これはギターを中心としたアレンジでアルバム中ではオーソドックスなフォーク調のアレンジだ。もう一つはキング・クリムゾンの「9.Starless」(『レッド』)、原曲は長いのでショート・バージョン。これは発売前からfRoots Radioで聞くことが出来た曲だ。原曲のメロトロンやギター(イメージとは違いけっこう甘い音色が聞かれる曲だ)はストリングスやトランペットに置き換えられている。本物のストリングの音がメロトロンの音色に聞こえるというのは、ある種倒錯的だが仕方ない。じつはゴールドフラップの『セヴンス・ツリー』にも同じようなことを感じたので例に出したのだが、あちらは牧歌的なビートルズ的ポップなサウンドなのに対してこちらの音の鳴りはなるほどプログレッシブ・ロック的だ。(ツイッターで松山晋也氏が「シャーリー・コリンズ~ジューン・テイバー~アンサンクスでイングランド・ゴシック・フォーク三段跳びって感じですね」と返してくれた)この女性ボーカルで終末的な歌詞の曲を311後の日本で聞くというのはなかなか感慨がある。まあ曲に余計な責任を押し付けるのはやめておこう。
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