『The Days That Shaped Me』Marry Waterson & Oliver Knight。新世代のウォーターソン家の新作
2011 / 06 / 19 ( Sun )
Marry Waterson & Oliver Knight The Days That Shaped Me
『The Days That Shaped Me』Marry Waterson & Oliver Knight

現代的なフォークを提示したThe Unthanksに続いては登場するのはイングランドの名門コーラス・グループThe Watersonsの若い世代のアルバムだ。イワン・マッコールのことを書いたときに、名前だけは有名なのではないかとしたが、ウォーターソン家にも同じことがいえるかもしれない。

ところでイングランドのトラディショナル音楽はビートルズやボブ・ディラン等への間接的な影響は大きく、聞けば聞くほど奥の深い世界だが聞き手の数はさほど多くないということは忘れがちだ。最近それを感じたのは老舗レーベルTopicがYoutubeにチャンネルを開設したときだった。ぼく自身むかし評論家の方にブログのコメントかツイッター(たぶん前者)で「○○のアルバムは全音楽ファン必聴ですよ」と書いたら「そんなに多くの人が聞かなくてもいいのでは」と返されたことがある。たしかにそういうものなのだ。これは選民意識ではなく適正なキャパシティがあるだけの話だ。

ぼくがこのウォーターソン家の声を初めて聞いたのはリチャード・トンプソンのアルバムだったと思う(ウェインライト/マクギャリグル家もそうだった)。ノーマ・ウォーターソン(健康状態が気になる)と旦那のマーティー・カーシー、その娘のイライザの3人の活躍はよく知られたところだろう。このアルバムはイライザのいとこたちによるものとなる。

オリバー・ナイトは知っている限りソロ1枚と、母親のラル・ウォーターソンとのデュオ名義で2枚のアルバムを出している。中でも『Once In A Blue Moon』(1996)はラルの歌と作曲能力の高さ、それに加わるオリバーの味のあるギターによる世界観が素晴らしい。このギターはジャスティン・アダムスが自身のアルバムやティナリウェンのプロデュースで聞かせるブルース感覚に近いものがあると思う。それはブルース・ロックとは別の道筋からたどり着いた山だ。またオリバーはTopicでプロデューサーやエンジニア他の仕事をしている(それだけにこのアルバムがOne Little Indianからの発売というのは少し意外だった)。マリーの姓をネットで調べるとGilhooleyと出てくるが、この名義にしたのは『Once In A Blue Moon』を意識しているのだろう。

全曲オリジナル。マリー・ウォーターソンは「2.Revoiced」を初めとする曲で母親譲りの声を聞かせてくれる。「3.The Gap」は多重コーラスによる掛け合いが面白い。オリバー・ナイトのギターは『Once In A Blue Moon』より雄弁ではないが途中から盛り上がれる「7.Sleeping Flame」では聞かせてくれる。いとこのイライザ・カーシーは数曲で参加し、中でもデュエットもしている「5.The Loosened Arrow」は聞き物だ。他のゲストは「1.Father Us」「14.Secret Smile」にKathryn Williams(キャスリン・ウィリアムス)、「8.Yoke Yellow Legged」にJames Yorkstone(ジェイムス・ヨークストン)がボーカルで参加している。どことなくニック・ドレイクの曲を髣髴させ、声の対比も面白い二人のボーカルとキュッキュと響くギターの後者の方が印象に残る。「5.The Loosened Arrow」と並ぶアルバムのハイライトとなっている。

ピアノで始まる曲もある。「6.Windy Day」はポップな曲調でピアノとギターの掛け合いが良い。「11.Angels Sing」はピアノが少しハープにような響きをし、ハーというコーラスと途中のトランペットが効果的に入る佳曲だ。

ジャケットは1枚の紙を折りたたんだスタイルで、裏には歌詞とクレジット(それが透けて見えるので表から見たジャケットは真っ白ではない)、その下には今の二人の姿が写り、CDの裏には幼少期の二人の写真が使われている。TopicのYoutubeチャンネルの話をしたがこのアルバムと『Once In A Blue Moon』は日本のAmazonでMP3が買える。この辺の対応にも注目したい。このアルバムからのカバーされることを望みながら終わることにする。
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