2011/10/28公開 公式HP:http://disney-studio.jp/movies/mission8/

Blu-ray:2012/03/21発売
低予算SF映画『月に囚われた男』でデビューしたダンカン・ジョーンズ第二弾作品です。予告編を見ると一見派手になったように感じますが、爆発シーンはあるもののそんなに派手ではなく、日常が繰り返されると言う点では構造は同じです。その意味ではデビュー作と同様にSFマインドを感じさせる作品に仕上がっています。
映画はシカゴを上空からとらえたショットではじまり、次第にカメラは列車にフォーカスされ、ジェイク・ギレンホール演じるコルター・スティーヴンスが写ります。彼の耳には軍事作戦用語が聞こえるのですが列車の中にいるので戸惑います。向かいの女性クリスティーナ(ミシェル・モナハン)は彼をショーン呼び会話もかみ合いません。とりあえず洗面所の鏡を見るとたしかに他人の顔になっていました。この後列車内でいくつかの出来事があったり、駅に止まったりしているうちに列車は爆発してしまいます。
じつはコルター・スティーヴンス大尉は狭いカプセルのようなものの中にいて、軍の最新プログラム(原題のSource Code)を使い列車テロ事件の被害者の(残留思念ならぬ)残留意識を疑似体験しているとモニターの向こうのコリーン・グッドウィン大尉(ヴェラ・ファーミガ)に知らされます。目的はテロリストの特定と予告されている次のテロ防止です。体験できるのはラスト8分、スティーヴンスはこの8分間を何度か体験しながら犯人を追います。このサスペンスの部分はまだこなれていないようで、このへんは次への課題でしょう。
ということでデジャヴ(ループ)もの常として、はじめは周りの人間がすべて怪しく見えるなど気合が空回り、あるモノのありかを知っても逆に自分が怪しまれ、挙句の果てに犯人を勘違いとなります。このようなことをしている間にクリスティーナにひかれたコルターは彼女を救いますが、列車は爆発して結果は変わりません。モニターの向こうからは犯人を見つけて爆発を防いでも現実に影響はないと言われます。やがて犯人に見当をつけたコルターはクリスティーナだけでなく、周りにいるすべての人間に心を配れるようになり、重大な決意をグッドウィンに告げて実行します。それは悟りを開いた状態になったからこそできるのです。
主演はジェイク・ギレンホール、なんでも彼が脚本を監督に紹介したとのこと、巻き込まれ型の主人公にふさわしいやや疲れたヒゲ面がなかなかはまっています、やらされている状態から能動的になるまでの流れが良いです。ヒロイン役にはミシェル・モナハン、『イーグル・アイ』のように巻き込まれ型主人公と一緒に行動する役には力不足なのですが、受身のヒロインしてはまずまずです。軍組織側にいるのはヴェラ・ファーミガと開発者のラトレッジ博士を演じるジェフリー・ライト。物語の展開上、部屋の中の移動しかなく動きは少ないのですが、軍服が決まっていています。対する乗客には有名俳優はいないようで、誰が犯人か分かりにくくて良いのではないでしょうか。
さて、ここからややネタバレになります。SF設定というものはどこかに無理があります。このSource Codeの残留意識を疑似体験ができるというのも同様ですが、それを受け入れても突っ込みどころは色々とあります。駅を降りて不審者を追うとして、死んでいない人間の意識までうまく再現できるのでしょうか。予告編を見たときは何人かの人間と入れ替わるのかと思っていました。それによって回数の制限ができる方が映画らしいと思ったのですが、それだと犯人と入れ替わったときに困るのでありえないですね。博士はこのプログラムは過去の再現だから乗客を救えないと言い切りますが、同じショーンに入れ替わっても、周りのセリフはまったく同じではないことがラストへの布石になっているはずです。列車テロは911を連想させ、コルターがアフガニスタンにいたのも無関係ではないでしょう。と考えるとこのラストはやや違和感もあります。コルターは現世を諦めたのか前に進もうとしたのか、個人的には自身と周りの人間のために最高の8分間を演出して、このループを終わりにしようとしたと考えます。
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