『裏切りのサーカス』試写会。『J・エドガー』より構成は複雑でないのに緻密
2012 / 04 / 15 ( Sun ) 裏切りのサーカス / Tinker Tailor Soldier Spy
2012/04/21公開 公式HP:http://uragiri.gaga.ne.jp/ ![]() Blu-ray:2012/11/02発売 事前情報で難解と聞いていた映画です。原作本(ジョン・ル・カレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』)も読んでいなかったので気合を入れて臨みました。たしかに説明は最小限である意味では不親切ですが、必要以上にトリッキーな手法などはありません。 映画の舞台は冷戦の時代、英国諜報部"サーカス"を辞めたばかりのジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)は政府から頼まれてソ連の二重スパイ/もぐらをあぶりだすことになります。疑いがかかるのは4人、俳優の名前を知らないならそれでいいかもしれませんが(知っているとトビー・ジョーンズがいて、また別の人が役名トビー役をやっているなど混乱するのです)、役名をよく記憶しておく必要があります(劇中では互いに名前を呼び合うよりは他人同士の会話に出てくる方が多いはずです)。逆に原題のティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイが誰であるかはさほど気にしなくても大丈夫です。 スパイものといってもアクションをあまりありません。なにせスマイリーは引退したばかりですし、現場での活躍は若い連中(マーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ハーディ)です。スマイリーの仕事も頭脳戦というより分析が中心で、要所でスパイとしての凄みを見せるといった感じです。 謎解きのための余計な説明セリフや巻き戻し少な目、といっても事件の鍵を握る回想はあります。監督は「ぼくのエリ」のトーマス・アルフレッドソン、あちらは悪くないねという感じでしたのでこちらのほうが良いと思いますが疲れることは疲れますね。 60、70年代描写というと当時のヒット曲を随所に配置するといった手法がよくありますが、本作ではそれはなし。音楽はクリスマス・パーティーで外国の歌を歌うのが諜報部流といったところでしょうか。アルベルト・イグレシアスによる映画音楽で目立つのはトランペットやクラリネットの音色で、クールで落ち着いた雰囲気になっています。美術でお気に入りなのはサーカスの中枢部のオレンジの卵容器みたいな壁(防音のため?)です。ここにいるときの息詰まる様子がたまりません。あと面白いのが電話の大きさです(音も大きい)。ケータイがない時代のもどかしさも見てみたかった気もしますが、邪魔かもしれません。 画として目に付くのはくすんだというよりは落ち着いたグレーの色調、このへんはポール・スミスのアドバイスもあるようです。というとキメキメショットが続くように感じますが、そう感じさせない画の切り取り方がこの監督の前作からの成長と言えそうです。ときおり意外な複数のものが一つの画面に収まっているのもうまいです。 最後に俳優について、まずゲイリー・オールドマン。主役といっても大活躍をするわけではないので飛びぬけて目立つよりは、抑えた演技をしながら収まるべきところに収まる様が決まっているといった方が良いでしょう。もぐら候補ではキーラン・ハインズのファンなので堪たんのうました(この4人ついては事前に色々と言うと差支えがあるのでこのくらいに)。実働部隊の3人ではまずマーク・ストロング、とくに演技派でもないのかもしれないのですがイギリス映画の脇役として妙に目立つこの人の存在感が好きで、そこは楽しめました。ベネディクト・カンバーバッチはBBC『シャーロック』のホームズ役でおなじみですがここでも頭脳担当で、目立てはしませんでしたがいい味を出していました。トム・ハーディは『Warrior』という格闘技映画をやっていただけあって、この映画では数少ないアクションと艶っぽい話を担当(これ以外に女っ気はありません)。となるとハーディの方が印象に残るでしょうが、ぼくの好みではカンバーバッチとしておきます。 |
--クリスマス--
あのクリスマスパーティのシーン、 変な胸騒ぎがしました。 実は、彼らのほとんどが 敵国のスパイなのではないかという…。 確か、ゲイリー・オールドマンだけ、 そのノリについていなかったような…。 諜報部が乗っ取られているようなあの感じは、 この映画を象徴していたと思います。
by: えい * 2012/04/26 22:22 * URL [ 編集 ] | page top
----
いつも拝見させていただいております。 またおじゃまします。 |
|
(英題:Tinker Tailor Soldier Spy)
----やっとジョン・ル・カレ『裏切りのサーカス』だ。
この映画、よく「一度観ただけじゃ分からない」と言われているようだし、
えいもお手上げだったのかと…。
「う~ん。
ある意味、そう取られても仕方ないのかな。
お話として?...
[2012/04/23 21:47] ラムの大通り
24日のことですが、映画「裏切りのサーカス」を鑑賞しました。
英国諜報部のサーカスに潜むソ連の二重スパイを
捜し出す指令を受けた 引退したスパイ スマイリーだったが・・・
スパイ映画ですがM:Iシリーズなど よくあるスパイ映画とは違い
アクションはなく 派手さも...
[2012/05/06 10:11] 笑う社会人の生活
本当に中身が濃くて濃くて。ぎっしりと詰まった濃密な味わい。いやー、面白かった。早くも私の中で今年No.1の作品。前評判で、難解、一度観ただけでは判らない、登場人物が複雑、など言われていたので覚悟して行ったが、なんのなんの。確かに簡単な展開ではないけれど?...
[2012/06/12 12:19] ここなつ映画レビュー
☆東西冷戦下、英国の、対ソビエト諜報戦の物語。
主人公ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が属しているのは英国MI6で、話のメインが「英国諜報部(通称サーカス)内に潜む二重スパイを探し出す」であるので、
物語は、雰囲気的に、英国諜報部の「見...
[2012/06/19 21:49] 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
12-38.裏切りのサーカス■原題:Tinker Tailor Soldier Spy■製作国、年:イギリス・フランス・ドイツ、2011年■上映時間:128分■字幕:松浦美奈■観賞日:5月14日、TOHOシネマズシ
[2012/09/09 14:15] kintyre's Diary 新館
2009年、押井守監督は『サイボーグ009』の映画化を進めていた。
最終的に神山健治監督の『009 RE:CYBORG』(2012年)として結実した企画は、元々は押井監督の新作としてスタートしたのだ
[2012/11/23 17:58] 映画のブログ
監督 トーマス・アルフレッドソン 主演 ゲイリー・オールドマン 2011年 フランス/イギリス/ドイツ映画 127分 サスペンス 採点★★★★ 「誰にも言わないで欲しいんだけどね・・・」と前置きされる話をよく女の人から聞かされるんですけど、“誰にも言わないで欲… [2016/04/21 15:00] Subterranean サブタレイニアン |
| ホーム |
|