サンバスンダ・クィンテット『ジャワ』。サンバスンダ選抜メンバーが狙いを絞った音を披露
2012 / 07 / 07 ( Sat )
ジャワ サンバスンダ・クィンテット
サンバスンダ・クィンテット『ジャワ』

前に日本公演をリポートしたインドネシア・スンダのグループ、サンバスンダ。ライヴでは山下達郎似のイスメットのリーダーシップが記憶に残った。というとメンバーを完全に仕切って自由度が低いような印象を与えるかもしれないが、カチャピ(琴)という手元をずっと見ないといけない楽器の特性もあるのかもしれない(ギターなら他のメンバーの空気を感じながらバンドを引っ張ったり、自分を引っ込めたりできる)。

新作は選抜メンバーによるサンバスンダ・クィンテット名義となった。アルバム・ジャケットを参考にメンバーを紹介すると左からスリン(竹笛)のアセプ、女性歌手ネン・ディニ・アンドリアティ、イスメット、ヴァイオリンのヤディ、クンダン(パーカッション)のブディとなっている。大編成のライヴを見たときにパーカッションが勝ってしまう場面が多かったのでこの編成はありだと思う。

じつはこのアルバムを語るのはけっこう難しい。曲はすーっと頭の中に入るので、曲単体の印象がどうでも良くなってしまいがちなのだ。今回は1曲1曲が長く音の主役もけっこう入れ替わるのだ(つまりイントロと曲全体の印象が違うこともある)。

前に語ったことがあるが僕はヤディのヴァイオリンの音が一番好きで、その次にカチャピとスリンの掛け合いが好きなのだ。ヤディのヴァイオリンの音はワイルドな音というのとはまた違う濁った感じの音で、こうした要素が加わると端正なサンバスンダの世界に変化が訪れる。「2.ジュンプラン・ナエック・ククプ」は不穏なイントロが面白く、終盤のベース音を担当するカチャピとパーカッションの絡みも立体的でおもしろい。サンバスンダの典型的な曲なら、寡黙なカチャピが素晴らしい「3.タンジュンの花」だろう、追いかけっこのような男性コーラスも良い。元は童謡だという「4.一緒に遊びましょう」はさすがにかわいらしいアレンジがされている。

もっとも異色な曲は「6.アイルランド人がバンドゥンに行く」。タイトル通りにアイルランド・ミーツ・スンダというべき曲だ。明るい曲調で、カチャピとスリンの絡みがパープとホイッスルのように聞こえる。後半のスリンとカチャピの掛け合いも爽やかだ。原題にあるパディとはチーフタンズのパディ・モローニなのか?チーフタンズにはアジアをテーマにしたアルバムも作ってほしい。

「7.美しき庭」が一番日本の琴に似ている。「8.アラン・アラン・カレオン・プラワ」はスリンとカチャピが美しいインスト。女性ボーカルによる歌を楽しむなら「7.美しき庭」と「9.カペジェ」、後者は哀愁があってよい。最後は「10.バラグンジャット・ナエック・バンドゥン・ヒドゥン」まずはカチャピとスリン盛り上げる。後半からはおなじみの絡みつくようなヤディのヴァイオリンとカチャピの対比が素晴らしい。

少人数編成といっても、各人が様々な楽器を演奏しヴァリエーションに乏しいことがないのがサンバスンダだと再確認した。次はこういった編成で自由度の高いライヴを見せてくれたら申し分ない。

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