『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』試写会。 『凍える太陽』とは違う意味で意外な方へ
2012 / 09 / 06 ( Thu )
ディクテーター 身元不明でニューヨーク / The Dictator
2012/09/07公開 公式HP:http://www.dictator-movie.jp/
ディクテーター 身元不明でニューヨーク ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
BD発売日: 2013/02/06

『ボラット』『ブルーノ』とモキュメンタリーというよりは体当たりドッキリものが続いたサシャ・バロン・コーエンの新作は一旦その手法を離れています。この手法をいつまでも使うのは有効的ではないですし、対象者の主義主張に関係なしに切り込んでいった『ブルーノ』では相手を怒らせることを目的化したような印象すら受けたので、こうして離れるのもいいころあいなのでしょう。

今回サシャ・バロン・コーエンの標的、ではなく演じるのは北アフリカのワディヤ共和国の独裁者アラジーン将軍、ポジション的にはリビアのカダフィー、2世のボンボンという意味では北朝鮮を意識しているはずです。気に喰わない人間はすぐに処刑(これには裏があり)、ベッドのお相手はミーガン・フォックスをはじめとするハリウッド女優(これにもオチあり)、そして周りには美女軍団がいます。

ワディヤ共和国は核開発が国政的に問題になったので、アラジーンは国連で演説しないといけなくなりニューヨークへ行きます。高級ホテルを貸しきっての豪華な生活と思ったら(ホテルの外には亡命ワディヤ人とその支持者によるデモ隊が大挙しています)、拉致されてヒゲを落とされ替え玉に挿げ替えられてしまいます。黒幕である側近(ベン・キングズレー)は偽者に民主化を宣言させて天然資源を切り売りすることで旨みを吸い上げることを狙っています。

それほど悪くない非民主国家と堕落した民主国家のどちらが良いかは大変難しい問題で、中国やロシアを連想してしまいます。大げさに言えばこの映画は民主主義国家が独裁国家と似たような状況に陥っても民主主義を愛せるかと問いかけているわけです。

サシャ・バロン・コーエンの映画なのでもちろんコメディです。人種差別(ユダヤ差別も含む)ギャグは満載です。一番笑えるのはアラジーンと核開発者とのヘリコプター内で対面にいる老夫婦が彼らの会話を聞きながら理解できる単語だけをつないで大騒ぎするやりとりでした。

人種差別に続いては下ネタ、今回も無意味な下半身露出があります(試写会ではモザイクはなし)。一番笑えたのはオナニー・シーンでした。ギャグは色々出てきても思ったより後を引かないというような感じで、切れ味はいまいちでしたがそこは量でカバーします。独裁者の孤独描写はユーモアとシリアスがいいあんばいになっています。

単にヒゲのないワディヤ人となったアラジーンを世話するのは自然食品店をやっている女性ゾーイです。アラジーンはここで働き様々なことを学ぶのですがサシャ・バロン・コーエンの映画なので自分探し映画にならないのが良いです。彼の店改造計画を見ると独裁も悪くないかも思ってしまいそうです。そのゾーイを演じるのはアンナ・ファリス、どちらかというとヒロインの友人役などが似合うタイプの女優なのでやや物足りなさを感じますが、体をはったならぬ毛をはった演技で、印象は悪くありません。

お話全体は『チャップリンの独裁者』をベースにしながらもロマンティック・コメディ・パートはバイク二人乗り、手を使ったギャグ、タイムリミット、最後のスピーチ(本作のハイライト)と『ローマの休日』の要素を取り入れています。これは『ローマの休日』がロマコメの代表的作品であるというのが大きな理由でしょうが、脚本家ダルトン・トランボもチャールズ・チャップリンと同じく赤狩りにあっていることを考えるとじつは深い意味があるのかもしれません。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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