『インポッシブル』 試写会。『ゴーストライダー2』とは違い監督の選択が正しい
2013 / 06 / 01 ( Sat )
インポッシブル / THE IMPOSSIBLE / Lo imposible
2013/06/14公開 公式HP:http://gacchi.jp/movies/impossible/
インポッシブル
DVD発売日:2013年11月8日

スマトラ沖地震の津波に巻き込まれた5人家族の物語です。微妙な題材なのでもちろん実話ベースなので助かることは分かります。しかも彼らは外国人、劇中ではイギリス人キャストが演じていますが実際にはスペイン人です。多くの犠牲者が出た災害を外国人が撮るならば、こうしてひとつの家族といった小さい単位を描くしかありません。スペイン映画である本作の監督はギレルモ・デル・トロ・プロデュース作として紹介された『永遠のこどもたち』のJ・A・バヨナです。前作はホラーといいながらも家族愛がキーとなる映画でした。じつは本作も演出方法はホラーの手法が多く出てきます。なにせオープニングからいやな音を聞かせてこちらを驚かせます。津波が来るときも音も強力です。流された後の傷ついた姿も並みのホラーよりきつくなっています。さらにはエクトプラズムや神隠しを思わせる場面まで出てきます。こうした災害映画にホラーの手法を使うことでホラーとは何が怖いのかというバヨナ監督のホラー論になっているかのようです。人間は「愛するもの」が消えることや変容することに恐怖を感じるのです。

その一方で家族愛もしっかり組み込まれていいます。津波によって母親と長男、父親と次男と三男に別れ、映画は母親のエピソードがメーンとなります。母親が流されながらも長男を救おうとする姿は誰もが強烈な母性を感じるでしょう。母親が長男にした命令は(本当にあったかは知りませんが)じつに立派で情けは人のためならずという格言を思い出します。

パニック映画と呼ばれる災害を題材にした映画に出てくる残酷な場面について、つい考えてしまうことがあります。「現実にあんなことはありえない」「現実はもっと悲惨だ」という意見です。自然を力強く描こうとすれば大げさになることもあります。東日本大震災を体験した日本人にとって津波の恐ろしさは他人事ではありません。僕の中ではそれまで映画等で見ていた津波のシャープな印象が重厚なものへと変わりました。具体的には陸に上がった津波がうねる大蛇のようにあらゆるものを飲み込むさまと、逃げた人が撮影した津波が上がってくる映像が忘れられません。こうしたを要素のある映画を今見ていいのか、僕は「現実とはこれらのホラー描写やパニック映画描写よりも厳しいものなのだ」と思います。作り手の意識にもこの考え方があれば、リアルな津波描写があっても見る価値のある作品になると思います。

ヘンリーとマリア夫婦を演じるのはユアン・マクレガーとナオミ・ワッツですが後者がメーンとなります。泥だらけになり、傷つき、衰弱すると監督から思いっきりいたぶられるマゾ演技を披露します。これがここまで似合う女優はそうはません。ケガをしていてもしばらくはアドレナリンで気にならないのですが、傷の酷さを認識した後で力を搾り出すところはさすがの演技です。ワッツはこの映画でもヌードになっていて(正確には胸をはだけていて)そこまでやらなくてもと思うのですが、最初と二度目との対比を考えると興味深いものがあるように感じます。マリアと長男ルーカス(トム・ホランド)が流されてゆくシーンは時間も長く、怖いのですが見所のひとつです。メーキングを見ましたが川幅くらいあるタンクでの撮影で、実際に流されています(遠くの木などはおそらくCG)。

長男ルーカスは序盤では生意気な子供でしかありません。そんな彼が津波という大きな体験をしただけでなく、母親を助けなくていけないという状況に置かれます。つまりこれは子供が急に成長しなければいけなくなる物語です。それは避難所にたどり着いた後によく描かれます。自分でできることを探し始めるところに彼の成長を見ます。演じるトム・ホランド君は『リトル・ダンサー』時のジェイミー・ベルによく似ています。

父親ヘンリー側のエピソードが後回しになりましたが、実際のこの順番となります。父親たちは母親たちが生きていると信じて各避難所を巡ります。ケータイ電話のエピソードでは、ユアン・マクレガーが情けない男を演じています。映画の中では受身の立場なのでそうなるしかありません。クライマックスはもちろん該当の避難所にたどり着くのですが、ここで見せるすれ違い描写は弱く感じました。前作に続いて出演のジェラルディン・チャップリンもお忘れなく。

ラストのエピソードは助かった人と助からなかった人の対比となります。多くの人が犠牲になった中で彼らは運のいい外国人だと示していると取れます。たしかに彼らは外側の人間ですが、使うべき権利を使っただけととるほうがいいのではないでしょうか。

テーマ:☆試写会☆ - ジャンル:映画

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